サプライズ連発!!
速度を落とし、成城学園前を通過。下りホームでは、喜多見車掌区、喜多見電車区の乗務員がLSEの乗客に手を振る。
多摩川を渡ると、ここから神奈川県へ。ところが、相模大野まで神奈川県と東京都の境を11回も越えるという。乗っている側としては、町田まで神奈川県川崎市を走っている感覚ではないだろうか。
車内では小田急トラベル主催のくじ引きによる抽選会が行なわれた。プレゼントは7000形LSEのBトレインショーティー、50000形VSE10周年記念グッズ、10000形HiSEと20000形RSEサヨナラ運転時の記念グッズなど。
当選者の号車と座席番号が決まると、スタッフ用に充てられた9号車の乗務員から拍手が沸き起こった。まるで自分が当選したかのような笑顔を浮かべている。
相武台前を通過すると、車掌が座間通過後、やなせ幼稚園の園児らが7000形LSEの通過に手を振るという。
座間を通過すると、進行方向左側のセブン-イレブン付近で幼稚園生が集まり、7000形LSEに手を振る。園児にとって、ロマンスカーは永遠のヒーローだろう。
「実はですね、その直前だと思いますが、まさしく“想いを受け継いでいるロマンスカー”GSEが、もうまもなく来るかと思います」
海老名が近づくとスピードが落ちてゆく。松村車掌の案内放送後、70000形GSEの特急ロマンスカー〈はこね16号〉新宿行きとすれ違う。そして、海老名をゆっくりとした速度で通過すると、海老名電車基地の職員が横断幕を掲げて、最後の雄姿を見届ける。
この先には初代3000形SEの格納庫あり、シャッターを開けて対面させる状態にセットされた。初代3000形SEと7000形LSEは、ともに国鉄が走行試験用として借りた。天下の国鉄が一目置くのだから、この2つは“特急ロマンスカー最高峰の名車”といえよう。
取材陣にもサプライズ
“お見送りイベント”が終わると、9号車に男性の乗客が現れ、取材陣らに春満開の小田原線を走行する7000形LSEの写真をプレゼント。心の底から7000形LSEを愛しているのだ。この日のために約400枚プリントしたのなら、脱帽かつ恐縮。人々の愛情や想いが詰まったラストランにふさわしい光景として、特筆しておきたい。
時刻は13時30分近くになり、取材陣にも「あしがら弁当」が配布された。海老フライ、鰆(さわら)のパセリバターオイル焼き、焼き南瓜(かぼちゃ)、紅あずま甘露煮、しし唐素揚げ、鶏そぼろ、焼き小なす、松茸里芋、花人参、高野豆腐、きのこご飯、茶飯、金目鯛のおぼろ山椒、桜かつお大根が丁寧に収められている。
7000形LSEは本厚木を通過。首都圏の終端を示すかの如く、車窓も都会や住宅地から、自然豊かな緑へと変わってゆく。