■連載/あるあるビジネス処方箋
部下を厳しく鍛え、一人前に早くしようとすることは上司の仕事ではあるが、それが許容範囲を超えると、やはり、問題ではある。最近は、厳しく追及し、部下を精神的につぶしてしまう上司は少なくない。そのようなケースを労働組合や弁護士などを通じ、取材していると、一定の共通項が見えてくる。今回は、部下を必ず、つぶす上司の特徴を取り上げたい。
出口を防ぎ、詰めてくる
このタイプの上司は部下と仕事についての意見が食い違い、議論になると、打ち負かさないと気がすまない。本来、ある程度の議論をすることが健全なのだが、それを認めようとしない。部下の言い分の矛盾や誤りを1つずつ指摘し、逃げ道を防ぐ。部下を論破し、服従させるという雰囲気で迫ってくる。認めることは一切しない。ほかの社員も恐怖を感じ、意見を言わなくなる。
結局、上司の言い分が常に正しいことになる。ところが、自らの意見がなぜ、正しいのか、理にかなっているのかを説明しない。説明ができないのだ。そこまで深くは考えていない。とにかく、自分を中心の体制をつくることしか、頭にない。
繰り返す
上司に厳しい意見を言ったり、激しい議論をする人は限られている。こういう部下を狙い打ちし、何度も潰しにかかる。徹底して繰り返して、つぶしてしまう人もいる。それが、「教育」や「指導」と信じ込んでいることすらある。管理職が本来するべきことは、部下たちを1つのチームにまとめて、部署の業績を上げていくこと。決して、部下をつぶすことが仕事ではない。
厳しい競争が浸透している業界では、こういう管理職は消えていくことが多い。それとは逆で、数十年前から安定したビジネスモデルを持ち、ある程度の売上や利益があると、社員間の激しい競争がなかなか浸透しない。すると、部下を潰しまくる上司がしだいに現れる。つまり、淘汰されないのだ。