折れやすいカラー芯をやさしく掴み続ける
『ユニカラー』は芯をやさしく掴み続けたり、芯を交換したいときや消しゴムを使いたいときに芯を掴む先端のチャックが引っ張られ過ぎないようにした。また、転がしたときにまっすぐ転がるよう、歪まないように加工・組立を行なっている。
こだわったのは、芯をやさしく掴み続けることだった。100円程度で売られている他のシャーペンは、使っているうちに芯が沈みこまないよう強く掴んでいるため、カラー芯を入れると、チャックが芯を食いちぎってしまうためであった。
だが、チャックが芯を掴む力は弱ければいいというものでもない。弱ければ使っているうちに芯が沈み込んでしまったり、筆圧が強い人が使うと書けなくなる恐れがある。「チャックがカラー芯を掴む力を、折れない最適なものに調整した上で量産に落とし込むことは、大変なことの一つでした」と甲斐さんは振り返る。
ボールペンや蛍光ペンと組み合わせた使い方を提案
『ユニカラー』発売と同時に、同社は初のTwitterを使ったキャンペーンを実施する。人気YouTuberなど5組6名が『ユニカラー』のキャンペーン特設サイトに公開した使い方動画を視聴し、同社のキャンペーン用Twitterアカウントをフォローした上で最もまねしたい動画をリツイートすることで応募完了。応募者の中から抽選で112名に賞品がプレゼントした。目標以上の応募者が集まったという。
このほか、メインユーザーである学生向けに、同社ウェブサイト内に『ユニカラー』の活用方法を提案する「おしゃレシピ」というページを、派生品の『ユニカラー3』が発売された2018年7月に開設。ボールペンや蛍光ペンと組み合わせてノートをキレイに見せる使い方などを紹介している。
「輪郭をボールペンで描き中をカラー芯で塗った矢印などを事例で紹介しています。難しいものではなく、簡単で『描きたい』と思う気持ちが持てそうなものを、試しに描いたり消したり体験してもらいたいです」と甲斐さん。「おしゃレシピ」にアクセスしやすくするため、同社ウェブサイトのトップページにバナーを表示しているほか、販売什器に「おしゃレシピ」にアクセスできるQRコードを印刷した。
芯の負担軽減は同じでも『ユニカラー』とは方法が異なる『ユニカラー3』
「おしゃレシピ」開設のタイミングと重なった派生品の『ユニカラー3』は、多色ボールペンのシャーペン版。3本の多色用シャーペンリフィルを搭載している。芯径は0.5mmで、初期搭載芯は『ユニカラー』同様、『ユニ ナノダイヤ カラー』だ。
『ユニカラー3』は「コンパクトに持ち歩くには1本にまとまっていた方が便利」(甲斐さん)という理由から開発された。コンセプトは「ノートに便利な1本」で、初期搭載芯のカラーはブルー、レッド、オレンジ。3色はいずれも学生によく使われるもので、ブルーは集中して文字を書くとき、レッドは採点、校正、チェック用、オレンジは暗記したいところを赤シートで隠して憶えたいときに使うことをイメージした。そのほかの色の芯を使いたいときのために、白色のリフィルもラインアップしている。
最大の特徴は、専用に開発したシャーペンリフィルの搭載だ。通常の多色多機能ペンに搭載されているシャーペンリフィルとは異なる。
通常の多色多機能ペンに搭載されているシャーペンリフィルは、筆記していないときでも芯を掴んでいるので、カラー芯を入れるとつねに力がかかり傷つきやすく折れやすい。また、芯をずっと掴んでいるため、外したときに何かに触れたりすると折れてしまいかねない。
これに対し『ユニカラー3』のシャーペンリフィルは、筆記圧をかけると書ける構造になっており、筆記しないときは芯を掴まず余計な力をかけない。また、内側にプラスチップパイプを組み込んだ二重構造になっており、外したときに芯が折れる心配がない。芯に負担をかけずやさしい点は『ユニカラー』と同じだが、そのために採用した仕組みは異なる。
多色多機能ペン用のシャーペンリフィル(右)と『ユニカラー3』のシャーペンリフィル(左)。『ユニカラー3』のシャーペンリフィルは内側にプラスチックパイプを設けて二重構造にしており、外したときに手などが触れて折れてしまわないようカラー芯を保護する