「東京は水がまずい。そのまま飲みたくないし、お風呂の湯も体を刺すようで嫌い!」
これは熊本県人から何度か聞いた言葉である。確かにおいしくないのは認める。マンションなど住んでいたらなおさらだ。
しかし、水が刺すとまで表現されると、正直どう反応していいのかわからない。逆に「じゃあ、熊本はそんなにいい水なの?」と聞きたくなる。すると、熊本県人は誇らしげにこう叫ぶのだ。
「熊本県の生活用水の8割は地下水。熊本市の水道にいたっては、100%ミネラルウォーターばい!」
え、マジですか? 早速確かめてきました。
人口74万都市でも100%地下水を利用
訪れたのは熊本市役所本庁舎。市の水道について聞きたいと問い合わせたところ、こちらへと案内されたのは環境局環境推進部水保全課という部署だった。まずここで戸惑った。
なぜなら、水道のことなら普通は水道局が担当するはず。熊本市にもその部署があるのに、環境局が答えるということが珍しい。そこに秘密があるのだろうか?
戸惑いつつも単刀直入に聞いてみた。あのー、熊本市の水は本当にミネラルウォーターなのですか?
「熊本市の水道はすべて地下水を使っています。水道法により最低限の塩素は入れてますが、浄化などはせず、そのまま給水しています。ミネラルバランスも良いので、ミネラルウォーターと考えていただいて構いません。そもそも、市のオフィシャルウォータ「熊本水物語」(500ml、110円)も地下水をボトリングしているのですよ」
と力強く答えてくれたのは、同課の廣瀧宗美さんと首藤美佐さん。
これだけの大都市で地下水を利用していること自体珍しく、50万人以上の都市では日本唯一という。なぜ、これほど豊富な地下水があるのだろう?