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水道水が100%ミネラルウォーター!?熊本県人が水にうるさい理由

2018.08.24

阿蘇山の噴火がもたらした巨大な濾過槽

 熊本の水を語る上でキーワードとなるのは、阿蘇の自然の恵みと、かつての肥後藩主、加藤清正だ。以下、その理由を解説すると……。

 阿蘇山はその昔、27~9万年前にかけ4度の大噴火を起こし、熊本地域(熊本市をはじめとする周辺11市町村)に降り積もった火山灰層は約100m。さらにその下には地下水盆と呼ばれる水を通しにくい層がある。

 つまり、ここに雨が降ると、火山灰層は隙間が多く水が染み込みやすい特性があるため、自動的にろ過され、きれいな地下水ができる。しかも、熊本市の年間平均降水量は2000mm、阿蘇にいたっては3000mmと、日本の平均(1700mm)をしのぐ。おのずと地下水がたっぷり貯まる土地なのだ。

 もうひとつ。加藤清正が肥後藩主となった際、多くの水田を開き、とくに白川中流域(大津町・菊陽町)に集中させた。実はこの地域は熊本地方の中でも屈指の水の染み込みやすいエリアであり、通常の5~10倍もの浸透力があった。

 つまり、水を張ってもどんどん染み込んでいくザル田だ。そこで対策として用水路を整備し、どんどん水を注ぎ足してきたことで、地下水がたっぷり作られる。

豊富な地下水を守るのが環境局の仕事

 今年は関東の梅雨明けが非常に早く、水不足を心配する人も多い中、何ともうらやましい水事情である。だが、その豊富な地下水も常にあるとは限らない。

「おっしゃる通り、熊本地方には大きな河川がなく、地下水が頼みの綱なのです。そこで私達は大切な水資源を守るため、白川中流域の転作田活用した湛水(たんすい)事業と、水源かん養林整備を行っています」(廣瀧さん)

 地下水は一時期減少傾向にあったため、周辺市町村と連携し、転作田にも水を張り続けたり、阿蘇西麓を中心とした植樹などの森づくりを行っているという。

「ある時は大津町の水田。ある時は西原村の造林地。現地に行くのに2時間かかることもあります。熊本市の仕事とはいえ、市外で活動することも多いのです」(首藤さん)

 熊本地方の地下水を共有する11市町村が同じ目的を持ち、協定を結んでいるからこそできる事業なのだ。ちなみに、転作田に張った水が地下水となり、熊本市に届くまで5~10年、阿蘇の山に降った雨だと約20年。将来をしっかり見据えていることがよくわかる。

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