東京急行電鉄2020系と6020系の報道公開された日に、じつは田園都市線江田駅に設置される、ハーフハイトタイプのホームドア(可動式ホーム柵)の積み込み作業も公開されていた。その詳細と他社のホームドア設置の予定などについても解説を試みよう。
ホームドアの運搬は旅客車両を使用
東急ではホームからの転落事故防止策として、池上線と東急多摩川線はホーム柵を設置。東横線、大井町線、田園都市線はホームドアの設置をそれぞれ進めており、2019年度までの完了を目指している。ちなみに2017年度、田園都市線では江田も含め、7駅にホームドアを設置した。
ホームドアの設置工事は、ホームの補強工事完了後に行なわれる。意外と思われるかもしれないが、ホームドアの運搬は旅客車両を使用する。ホームドアは1ドア分約200キロであること、ホームは駅によって地平、地下、高架と構造が異なるからだ。
例えばトラックで駅まで運ぶと、設置工事に時間がかかるほか、相当な人手も要する。また、田園都市線は10両編成なので、2tトラック10台分(ホームドア1両分につき1台)入れるスペースは、広大なバスターミナルを持つ駅に限られるだろう。
既存の旅客車両を使用することで、終電後から初電前までホームドアを一気に設置できるほか、人手も50~60人で済むという(ただし、設置後、ホームドアが稼動するまで時間を要する)。
費用
ホームドアの費用については、数億円規模の大事業であることから、国や自治体に補助をお願いしている駅もあるという。東急では毎年、沿線の各自治体にヒアリングを行なっており、ある自治体がホームドアの設置費用について「補助できない」と回答した場合、東急が全額自己負担としている。また、駅によっては、当初から東急が全額自己負担している。
ホームドアを製造するメーカーについては、メンテナンスなどを考慮し、各線同一のメーカーに発注しているという。今回、ホームドアの設置を進めている3線は、3メーカーに発注したと考えればいいだろう。
耐用年数について、案内した東急社員によると「5年、10年サイクルで、なにかしら考えています」という。東急の駅は、地下のほか、地上はホーム屋根のある駅、ない駅、両方が混在する駅もある。すなわち全駅同じ環境ではないので、耐用年数については、「一律ではない」ことも考えられるのだ。
将来は更新費用も考えなければならない。それについては、自社負担となるのか、国や自治体に助成金をお願いするかについては、今後の課題となるようだ。