今年、創業60周年を迎える日清食品。その社名には「日々清らかで豊かな味を作る」という、『チキンラーメン』『カップヌードル』を生み出した創業者・安藤百福氏の思いが込められている。その百福氏の孫であり、CMやネットで話題となる多くの戦略を仕掛ける安藤徳隆社長に、経営に込める思いを聞いた。
1977年生まれ。2004年安藤スポーツ・食文化振興財団を経て、2007年日清食品に入社。経営企画部 部長に就任し、以後日清食品ホールディングス取締役・グループマーケティング責任者(CMO)、専務、米州総代表、グループ戦略責任者(CSO)を歴任する。2015年4月より現職。
社長になったらやりたいことがいっぱいあったーー
◎売り上げを伸ばすやり方はいくらでもある
――社長就任から今年で4年目となりますが、2015年4月の就任時の戦略「100年ブランドカンパニーへの挑戦」など、安藤社長の想定どおりに進んでますか?
「業績はおかげ様で想定以上に良い結果が出ていると思います。3年連続で過去最高の売上高も更新できましたし、今年は過去最高益まで達成しました。日清食品のブランドは以前にも増して強くなっていると感じています」
――好調な理由、それはどこに要因があったとお考えですか?
「社長になった時、証券アナリストや新聞記者の方々から、これからの日本は少子高齢化と人口減、つまり胃袋の数が減っていくので、食品産業は衰退するのではないか、と指摘されました。確かにそうなのかもしれないけど、本音では『売り上げを伸ばすやり方はいくらでもある』と反論したかったくらいなんです」
――以前インタビューで「人口が減っても、話題を作り、商品価値を上げれば、即席麺需要は伸びる」とお話しされていましたが。
「胃袋のシェアをもっともっと取るためには、どこに伸びしろがあるのかを考えればいいわけです。私が社長になった当時、『カップヌードル』を一番食べていたのは40~50代でした。その上の世代の方も以前は食べていたんでしょうが、お年を召されると量が多いとか味が濃いなどの理由で、即席麺の喫食頻度が落ちていくのが自然な流れです。そうしたシニアの方向けに上質な『カップヌードルリッチ』や、量の少ない『お椀で食べるシリーズ』を提供することで、『自分たち世代のニーズに合わせて進化しているブランド』と感じてもらえるようにしました。また、胃袋が大きい若者も『カップヌードル』を食べてくれてはいるんですが、ファストフードやスナック、コンビニ弁当など、美味しい物がたくさんある中の〝ワン・オブ・ゼム〟でしかなかった。それを彼らにとってなくてはならないもの「俺の人生にはこのブランドがないとダメなんだ、スマホと『カップヌードル』だけは絶対に必要だ」というくらいにまで感じてもらうことができれば、さらに需要は伸びると思っています」