■天気予報は、究極の生放送
天気予報に日々向き合っていると、気象衛星やコンピュータを駆使しても、天気を予報するのは難しいと日々、感じます。例えば関東のとりわけ東京の雪。東京の場合、0•5度気温が違うだけで、雪か雨か違ってくる。スーパーコンピュータのデータや、他にもたくさんの情報を加味して目星をつけますが、それでも外す時があります。
梅雨の時に多い北東気流は、関東に曇り空と涼しい空気をもたらす時の気圧配置ですが、これも気象予報士泣かせです。北東気流がいつ解消するかによって、晴れる時間が変わってくる。午後には晴れるでしょうと予報を出したら、夜まで北東気流が入り続けて晴れなかったなんていうこともあります。
「TBSニュースバードで求人があるからやってみませんか」上司から再びCS放送のテレビ出演の話をもらい、オーディションに受かって。CS放送のニュースバードのお天気キャスターに復帰したのは2014年。一昨年は声の調子を崩して、お休みをいただいた時期がありました。
「今回は辞めないで休みにする。多胡さんはこれまでの実績もあるし、頑張ってくれているのはみんなわかっているから、焦らなくてもいい。待っている」その時の上司のそんな言葉は忘れませんね。気象予報士の資格を持った人は1万人ほどいます。お天気コーナーのキャスターをやりたい人はいくらでもいるのに、私を使い続けてくれて。
今も天気予報の番組のサポートやコラムの仕事、ヤフー動画の制作等とともに、週に2回、ニュースバードのお天気キャスターを続けています。
与えられた短い時間で、視聴者が望んでいることと、自分の言いたいことを凝縮して語る時の緊張感。「20秒短く」とスタッフに言われ、「わかりました」と、コーナーの最後をピタリと合わせる。“きっちり時間通りに入ったぁ〜”という時の込み上げてくる充実感。
今現在の空模様を伝える天気予報は、究極の生放送です。番組をバシッと決めた時の達成感は、他では味わえないものがあります。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama