あなたの知らない若手社員のホンネ~ウェザーマップ 気象予報士/多胡安那さん(契約5年目)~
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部下のモチベーションを理解することは中間管理職にとって非常に重要。とは言っても今回は気象予報会社のウェザーマップに所属する契約5年目の気象予報士である。よく知られているがジャンルだが、気象予報士とはどんな仕事なのか。その辛さを含め紹介する。
シリーズ第26回目は、お天気キャスターの森田正光さんが、会長を務める株式会社ウェザーマップ所属の多胡安那さん。会社との契約が5年目の気象予報士だ。2005年3月に聖心女子大文学部卒後、マスコミで天気の仕事がしたいと、天気予報配信等の会社に所属。読売テレビでお天気キャスターに抜擢される。
その後は日テレで営業職を経験。2011年に気象予報士の資格を獲得。お天気キャスター時代の録画等が、ウェザーマップのスタッフの目に留まり、テレビ東京出演の仕事が舞い込む。
「残り1分」等の指示に、ピタリと合わせ、お天気コーナーを終わらせることができる。“尺を合わせる”のが得意な一方、ネガティブところがある、生放送中の間違いをものすごく気にするタイプと自認する彼女、それ故なのだろうか、試練は待ち受けていた。
■しゃべることが怖くなる
「お天気のコーナーは生放送なので、その場で終わる。その日のことはさっさかと忘れて、反省もしないよ」それはウェザーマップの会長で、お天気キャスターの森田正光さんに言われたことです。森田さんは私の性格をわかっていて、そんな言葉を贈ってくれたのかもしれません。
平日はTBS等の天気の原稿を書いて、土日の夕方は、テレビ東京のTXNニュースの2分ほどの天気のコーナーを担当したのですが。私は間違い等を気にする性格なので、メンタル的に支障を来したのかもしれません。頭でわかっているのに、なんとなく声が出にくくなって。周りには風邪を引いたのかなくらいにしか、思われませんでしたが、徐々にテレビでしゃべることに、怖さを感じるようになりました。番組を引き受けて1年ほどした頃でした。
「お天気キャスターを替わってください」
そう自分から上司にお願いしたんです。私の性格を上司や仲間はわかっていて、優しい言葉をかけてもらいましたが。
こんなことで交代して、私って……。テレビ東京の番組を降りた時は悩みましたね。その3ヶ月後に「あさチャン!」というTBSの新しい番組に、気象予報士としてサポートに回りました。サポートはキャスターが読む原稿の構成を考え、トピックとなる材料を渡します。いろんなところにアンテナを張って、例えば気象予報士としての知識を駆使して、雨雲レーダーをじっくりと見たりもしました。
もしかしてこの地域、100ミリ超えてるんじゃない? 今年、時間あたりの降雨量は日本一だったんじゃないかしら、そうだとしたら記録だわ。そんなことに気づくと、気象台に連絡して確認を取り、誰よりどの局よりも早く話題の材料としてキャスターに渡したり。
お天気コーナー以外でも、使われることがあります。例えば朝一の番組の全体会議で、気象班の私が「今日は北海道でも真夏日になりそうです」と発言すると、ニュース担当の方が「北海道のどのあたり?」と。「帯広の可能性が高いです」「なるほど」、そこで帯広にカメラを出してもらい、ニュースの項目に入ったり。天気予報の番組のサポートの仕事も、やり甲斐があって面白い。