あなたの知らない若手社員のホンネ~ヤマハ発動機/石田大樹さん(25才、入社4年目)~
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20代と部下とうまくやるには、仕事へのモチベーションを理解することが必要。だが「静岡の磐田市に本社があるうちの会社は、のんびりしている」と、石田さん。資本金857億97百万円、2017年12月期の連結決算が1兆6,701億円。外資系企業とは真逆にある典型的な日本の大企業の一つなのかもしれない。
第22回目はヤマハ発動機株式会社 企画・財務本部 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ 石田大樹さん(25才)入社4年目。
「ヤマハって、あー音楽教室の会社ね、石田くん、ピアノとか弾けるんだ」と言われたことが悔しくて、会社の認知度向上に貢献しようと広報の部署を志望。新米の広報マンは失敗の連続だったが、父親と同じ世代の上司は、叱咤することはなかった。だがある時、「広報マンとしてそれを言ってはダメだ」と、上司に諭された言葉は、印象深く彼の心に残っている。
「記事ができたら見せてください」電話取材で何気なく彼が言った時だった。“原稿を事前に見せてくれ”はご法度だと。上司曰く、
「うちが発表したり提供した情報に基づいて、メディアさんには受け取ったように書いてもらうのだから、うちが原稿をチェックするのは筋違いだ。そういうことをメディアさんに要求すると、ヤマハの広報マンの質が問われる」自分の勉強不足と未熟さを実感した出来事だった。
■早速1000CCのバイクを購入、社員仲間とツーリング
僕の中で一番の失敗と言えば一昨年の冬、長野県の斑尾(まだらお)スキー場で開催されたヤマハ製のスノーモービルの体験会でした。ディーラーとコミュニケーションを取るため、広報担当として僕もスタッフとして加わったんです。ところが、体験会の前日から体調がすぐれず、当日は午前中病院に行きまして。「まっ、大丈夫でしょう」という医師の言葉で、斑尾スキー場の会場に向かったんですが、スキー場に着いた時点で、しんどさは限界に達していて。泊まる予定の施設で体温計を借りて測ったら、熱が39度もある。これはヤバイ……。
「すみません」スキー場内の体験会場にいる上司に電話をすると、「気にしなくていいから、すぐに東京に帰って病院に行きなさい」と。結局、経費を使って現地まで来て何も仕事をせずに、長野駅までのタクシー代、7000円ほども会社が出してくれて。病院に行ったのは東京に戻った夜10時頃でした。
「インフルエンザでした」夜遅く上司に報告をすると、「大丈夫か、今夜食べるものはあるか」とか、上司は親身になって心配してくれました。
僕の上司だけでなく、穏やかな人が多いのは本社が創業地に近い静岡の磐田市の田舎にあるからでしょうか。会社説明会の時も他社のメーカーは、ピリッとした雰囲気に包まれていて。ところがヤマハは自分の趣味と仕事がマッチしているとか、先輩社員が好きなことを話していて、和気アイアイとした楽しそうな職場の雰囲気が伝わってきました。
内定をもらって、僕もヤマハのFZ1という1000CCのバイクに乗り換えて。研修期間中にさっそく社員仲間とツーリングに行きました。社内で大型バイクに乗っている人は多いです。
うちの社員はバイク好きか船好きか、ロボットを作りたい人とか。売上げの9割が海外ですから、外国で活躍したい人とかがほとんどです。
良きにつけ悪しきにつけおっとりとした会社だと、改めて感じたのは一昨年10月、ホンダからヤマハへ、50CC原付スクーターのOEM供給の記者会見の時でした。「記者がたくさん来るから、もっとカメラ台を増やそう」「説明用のホワイトバランスも用意したほうがいい」とか、ホンダの社員さんはテキパキと段取り良く動いてくれて。うちと比べて記者会見を数多くこなしているから、場慣れしているというか、会見の準備を主導してくれました。