■営業は苦手でも、チームをまとめることを通して大きな視野を養える
ダイレクトプラスを扱うカタログチームをリードする立場になったのは、昨年の春すぎでした。アウトソースのチームの4人をどのようにリードしていくか。4人とも仕事ができる人たちでしたが、私が引き継いだタイミングで、リーダー格の2人が異動することになったのです。
異動はスタッフにとって、ステップアップになるので喜ばしいことなのですが、私としては複雑な心境でした。仕事ができるベテラン2人が抜けて新人が2人加わるのですが、新人が仕事に慣れるまで、戦力ダウンは避けられません。いかに戦力ダウンを最小限に抑え、スムーズに引き継ぎを完了するか。
今までの私の仕事はゴールが見えていましたから、誰と交渉をすれば効率良く物事が進むのかがわかりました。でも人事の問題はゴールがはっきりしないし、誰と交渉していいのかもわからない。結局、上司の許可を得て、スタッフが異動する前に新しいメンバーに加わってもらい、一時期6人体制で直接、仕事を引き継ぐ方法を取り入れたのです。
私は新しく加わったスタッフの話を聞くと同時に、新しくリーダー格となった男性とは毎日、綿密なミーティングを繰り返しました。
「どういうふうに、新人に教えていいのか……」彼が自分の思うようにいかない心情を吐露した時は、一連の作業を一気に新人に教えようと頑張っている姿が、見て取れていましたから。
「人によってタイプが違うんだから、少しずつ教えて、徐々にできることを増やしていけばどう?」というアドバイスをしました。すると彼は「そういう見方もあるんですね」と。
半年ほどかけ、戦力ダウンを最小限に抑える形で2人のスタッフの交替が完了し、今は落ち着いて作業ができています。
急に話を振られ、パッと反応することが苦手な私は、周りに相談することが得意ではなく、自分の中に溜め込んで一人黙々とやるタイプでした。今でも営業職に向いてないと思っていますが、カタログチームをリードする立場になって、日常的に言葉で人に伝えることができている。大きな視野で仕事をすることが、徐々に身に付いているからかもしれません。
「ねえ穴沢さん、司会をやってもらえないかな」そんな話を向けられたのは、本社のある墨田区錦糸町の居酒屋での飲み会でした。年の初めに会場を借り、全体ミーティングが行われるのですが、私は司会役に抜擢されたのです。
数百人の社員を前に、男性社員と2人で壇上に立ち司会を務めました。それが出来たのは、今の部署で大きな視野で仕事ができるようになった、その賜物というわけではなくて(笑)、台本通りに司会を進行するのが、自分に向いている、それを気付かされました。
この会社では結婚や出産を理由に辞める人は、まずいません。在宅ワークやフレックスワークも充実していますし、希望すれば海外で仕事をすることも可能です。
これまで気づかなかった自分に気づく、さらに大きな視野で仕事ができるようになりたい、それは将来的な目標ですね。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama