■連載/石野純也のガチレビュー
低価格版の『iPad』が、これまで『iPad Pro』の専売特許だったApple Pencilに対応した。9.7インチの第6世代『iPad』が、それだ。チップセットにはiPhone 7と同じ、「A10 Fusion」を採用。Apple Pencilによる手書きが可能になっただけでなく、パフォーマンスを必要とするアプリを駆動させるのにも十分なスペックとなった。
必要十分な機能を満たしながら、Wi-Fiモデルの32GB版は3万7800円と低価格だ。組み合わせによって10万円を超えてしまう『iPad Pro』と比べると、気軽に買えることは間違いない。では、この新しい『iPad』は本当にきちんと使えるレベルに仕上がっているのか。アップルから借りた実機をレビューした。
書き心地の良いApple Pencil、難点はその価格か
『iPadPro』で定評のあったApple Pencilに対応した第6世代の『iPad』。『iPad Pro』ではないため、書き心地に違いがあるかと思いきや、それは杞憂に過ぎなかった。メモアプリで文字を試し書きしてみたが、ディスプレイの表示が、Apple Pencilの動きにきっちり追従してくれる。非常にスムーズで、まるで紙にメモを取っているかのような感覚になる。
『iPad Pro』以外では、初のApple Pencil対応となる
筆圧を検知できるのも、Apple Pencilの魅力といえる
一方で、ディスプレイのガラスの上に樹脂製のペン先を走らせる形になるため、書き心地はやや硬めの印象を受ける。本物の紙とペンを使ったときのような、適度な引っかかりはないため、多少の慣れは必要になるだろう。ディスプレイに多少の抵抗感を与えるような保護シートも販売されているため、気になった人はこうしたアイテムを使うといい。
筆者が日常的に使っている10.5インチの『iPad Pro』は、ディスプレイが倍速表示になっており、120Hzで駆動する。その差がApple Pencilの書き味に出るかと思いきや、文字を書く程度であれば、違いを感じることはほとんどなかった。むしろ、ほぼ同じような書き心地を実現しているといっていい。低価格ながら、この点では『iPad Pro』との差はわずかだ。
ただし、ディスプレイの方式に違いがあり、新しい『iPad』はガラスと液晶が一体となっていない。そのため、『iPad Pro』に比べると、やや奥の方に画面があるように見える。Apple Pencilを使う場合、ガラスを1枚隔てて紙の上に文字を書いているようになるといえば、わかりやすいかもしれない。