■スマイルフェイス
2020系、6020系の前面デザインを眺めると、人の笑顔を連想させる。車両課によると、江戸時代の古風な女性の顔立ちをイメージして設計したそうで、「お客様とコミュニケーションをとる東急」を表している。
先頭車前面に掲示する車号は、デザイナーと協議した末、ホワイトラインの上にナナメで配した。今までの鉄道車両では前例がないので、軽快かつ斬新だ。
注目は、LED式のヘッドライトが上下に配置されたこと。車両課に確認したところ、視認性を向上させるため、ロービームは下のみ点灯し、手前をより明るくさせる。ハイビームは上下とも点灯することで、遠くをより明るくさせるという。
デジタル方向幕はフルカラーLEDで、「種別+駅ナンバリング+行先」を表示。2代目5000系に比べ、大きくて見やすい。車体側面のデジタル方向幕の大きさは従来の車両と変わらず、この日は「試運転」、「TRIAL RUN」の交互表示のみ。実際の営業運転では、表示方法が気になるところだ。
一方、6020系前面の行先表示は、大井町線ラインカラーのオレンジを背景色にすることで、田園都市線列車との誤乗防止対策を図っている。
■“絵になる電車”を目指して
東急では一部の車両を除き、8500系以降は、コーポレートカラーの赤を識別帯として巻く。軽量ステンレス車体が実用化された8090系以降は、車体側面にも赤帯を巻いて、“東急の電車”のイメージを確立した。
今回の2020系、6020系は赤帯がない。車両課によると、「沿線の街や、駅との調和。風景にマッチする、今後の田園都市を駆け抜ける“絵になる電車”」を目指したそうで、デザイナーには「赤にこだわらず、描いてください」とお願いしたという。
エクステリアのコンセプトカラーは、INCUBATION WHITE(美しい時代へ孵化していく色)をベースに、2020系は田園都市線ラインカラーのグリーン、6020系は大井町線ラインカラーのオレンジの帯をそれぞれ巻く。
また、ステンレス車体は、総合車両製作所のブランド「sustina」(ステンレス鋼の略号「SUS」と、「Sustainable」を組み合わせた造語)を採用。魅惑的な車両デザイン、環境親和性の高い車両、信頼性確保と車両ライフサイクルコスト低減の両立などが特長だ。エクステリアは、側窓や乗降用ドアにフレームがないので、従来のステンレス車体に比べ、見栄えがよい。
車両連結部には、転落事故防止のため、外幌を設置。注意喚起用の黄色縦ラインも添えられている。
車体側面には、「号車、フリースペース、車両番号」を1枚のステッカーにまとめており、わかりやすい。
機器面では、低騒音型の主電動機や駆動装置を採用し、車両騒音の低減を図っている。灯具のオールLED化も相まって、8500系に比べ、消費電力を約50%削減したという。