■あなたの知らない若手社員のホンネ~江見直人さん(27才、入社3年目)~
「よくわからん」20代の部下の心情。中間管理職にとって彼らの仕事へのモチベーションを理解することは重要だ。それが良好なコミュニケーションに繋がる。若い人も同世代がどんな仕事に悪戦苦闘しているのか、興味のあるところだ。この企画は入社3~5年の社員の話にじっくりと耳を傾け、そのマインドを紹介する。
第14回目はスカパーJSAT株式会社、宇宙衛星事業本部 官公事業部の江見直人さん(27才)入社3年目だ。
学生時代バスケットの選手だったという身長190㎝近い彼は、大学で宇宙物理を学んだ。宇宙繋がりでスカパーに入社したが、天文学とは全く関係のない官公庁への営業職に。災害時、地上の通信手段が断たれた時に活用するための衛星通信の契約だが、既存のお客さんに対して新しい使い方を提案したり、要望を聞いて対応するのが営業の仕事。現場では孤軍奮闘する中で、上司との関係に悩みつつトラブル処理もこなしたが、会社を辞めようと思ったことも。でも楽天的な性格なので――。
■「お前、全然仕事してねえんだよ」
学生時代の僕はけっこう適当な人間で、あまり理解しなくても行っちゃえみたいなところがあったんですよ。入社して間がない頃は、そんな性格が災いしたのか、失敗したこともありました。
僕が担当する取引先で、ある会社の屋上のアンテナを建て替えたいと。移設後、正常に通信ができるかどうか試験をして、その報告書を担当者に手渡した。実は報告書はテストをしたメーカーから受け取ったものをそのまま提出したようなもので、僕は内容をまったく理解していなかった。
「江見さん、これはどういう数字?」「この単位はなんですか」先方の担当者に電波の強さやレベル等、報告書の内容を聞かれても答えることができなくて。
恥ずかしい……、穴があったら入りたい心境でした。「ちゃんと理解をして教えてくださいね」と、お客さんからやんわりと言われまして。これは自分でやるしかないと。資料を初めて見た人でもわかるように、勉強して資料を書き直し、説明書きを加えた報告書を作成しまして。
「これは、衛星から電波を受けたアンテナから出てきたものを、メーターで測った数値です」「ここからここまでが基準値です」と、お客さんに説明ができました。
「お前、全然仕事してねえんだよ」
前回、携帯電話の留守電の怒り声で、夜10時に会社に呼び出した上司は、飲みの席で説教するんですよ。僕らのためを思ってでしょうし、確かに新たな受注を獲得するのは難しくて、なかなか数字で成果を出せませんが。
でも、例えばあるインフラ会社の技術研究の施設とは、契約がなかったんです。災害時を想定してその施設でも本社と同じ映像が見られる設備がほしいと。入社する前からあった話ですが僕が進めました。お客さん側は多くの機能はいらないというので、月の金額は小さいですが、一昨年の夏に契約をまとめることができ、そのときはほめられました。