■金トキ豆(ハトマメ屋)
ハトマメ屋は、明治18年創業の老舗菓子店で、『金トキ豆』は初代店主から受け継がれてきた看板商品となっている。これは、砂糖水で練った小麦粉の生地を延ばしカットしたものを、丸めて焼き上げ、最後に砂糖蜜をしみこませた素朴なお菓子。レトロ感のあるパッケージの中に、おみくじが一緒に入っている。
鏑木さん:「『金トキ豆』のおみくじは全部で42種。ウイットに富んだ都々逸調の詩が書かれ、明治時代の辻占の姿を留めています。おみくじを入れ始めた昭和初期から変わっていない貴重なものです。この時代感とローカルさが旅情をそそります。」
紹介されたおみくじは、どれもユニークで思わず引いてみたくなるものばかり。旅行で近くに立ち寄られる際は、ぜひ訪ねておこう。
協力/鏑木麻矢さん
文筆家。早稲田大学第一文学部卒、古美術研究会OG。伝統あるもの、美しいものを好み、学生時代から神社仏閣巡りと街歩きと美術鑑賞を趣味とするうちに、縁起物をこよなく愛するようになる。メディア掲載等多数。硬軟取り混ぜた幅広くユニークな視点と、わかりやすくユーモラスな切り口に定評がある。おもしろいと思ったら何でもとことん追究するのがモットー。著書に『ニッポンのおみくじ 日本全国232種のおみくじを引く』(グラフィック社刊)があり、書名のとおり232種類もの多種多様なおみくじが写真付きで解説されている。
ブログ:古今東西縁起堂
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)