■課題は沿線の歩道橋
周辺は横浜羽沢駅と、少し離れたところにマンション、一戸建てが並んでいる。また、横浜国立大学が見当たらない。石川計画課長によると、直線距離で約700メートル離れているという。
横浜羽沢駅は旅客駅ではないため、事実上の“鉄道空白地帯”。ここから鉄道を利用するには、相鉄線の西谷駅などへ向かわなければならず、羽沢横浜国大駅が開業すると、鉄道アクセスが改善する。
しかし、課題も。沿線の歩道橋から羽沢横浜国大駅の駅舎を目の前にしながら、“遠回り”を強いられること。歩道橋から羽沢横浜国大駅まで、ショートカットする計画はないという。開業後は列車の発車時刻を頭に入れておきたいところだ。
■相鉄・JR直通線は運転本数少なめ
JR線直通列車は羽沢横浜国大を出ると、貨物線、湘南新宿ラインを経由して、武蔵小杉に停車する予定だ。羽沢横浜国大―武蔵小杉間の所要時間は約10分だという。
朝ラッシュ時の運転本数は1時間あたり片道4本、それ以外は1時間あたり片道2~3本を計画しているという。湘南新宿ラインは横須賀線、埼京線などと同じ線路を走るので、ダイヤ作成の難航が予想される。
■相鉄・東急直通線は新横浜(仮称)が境界駅
相鉄・東急直通線の羽沢横浜国大―新横浜間は相鉄、新横浜―新綱島(仮称)―日吉間は東急の管轄で、新横浜が境界駅となる。現時点、どの鉄道事業者が管理するかは、未定だという。
新横浜のホームは2面2線確保し、緩急接続(例えば急行と各駅停車)ができるほか、折り返し運転も可能だ。加えて、東海道新幹線(JR東海)などに乗り換えられる。開業すると、相鉄沿線から東海道新幹線への利便性が大幅に向上するほか、新横浜―都心間は東海道新幹線から東急への転移も考えられる。
朝ラッシュ時の運転本数は1時間あたり片道10~14本、それ以外は1時間あたり片道4~6本をそれぞれ計画しているという。列車は目黒線直通を基本とする見込みで、東横線直通も数本設定したい考えだ。
海老名駅東口付近に掲げられた横断幕。相鉄・東急直通線開業後、「新横浜」に妥協できるか。
仮に新横浜が相鉄管理駅となった場合、新横浜―羽沢横浜国大間の先行開業も考えられる。まずは東海道新幹線アクセスの改善を図ることで、“便利になった相鉄”をアピールできるだろう。
参考までに先行開業した例は、JR西日本の本四備讃線茶屋町―児島間がある(瀬戸大橋博覧会開催のため)。
【取材協力:相模鉄道、鉄道建設・運輸施設整備支援機構】
取材・文/岸田法眼