■Y!mobileの登場でMNOの携帯電話料金は下がった
石野氏:MVNOの速度が昼間遅くなってしまうとか、そういう話も今後、出てくると思うんですけど、これは何が悪いかといえば接続料だということになって、対処療法的に接続料を下げていくことになると思うんです。でも、その大本を考えると、帯域あたりで接続するという仕組みをなんとかしないと解決しないんじゃないかと思うんですが、制度の根幹部分に話が行かないまま終わっちゃいそうな雰囲気がプンプンしている。Y!mobileとUQ mobileを規制するという話になって、またしょっぱい規制が出てくるんだろうなと思います。
石川氏:UQ mobileやY!mobileの店舗や広告を規制しよう、みたいな話が出ていて、これって店舗を減らせってことじゃないですか。でもユーザーにしてみれば、Y!mobileの店舗が近所にいっぱいあるから買いやすく、分からないことがあったときには聞きやすいというメリットになっていて、みんなY!mobileを選んでいる。ユーザーが安くスマホを使えるということにつながっているのに、店舗を減らせ、CMをなくせって、方向性が間違っている。
法林氏:端末の割引の話のときにも、株主優待やドコモのdカード ゴールドのクーポンがダメっていう話があった。そんなものまで言うかと。そもそも、総務省が民業の料金プランに口を突っ込むのはダメなんですよ。
石野氏:細かすぎて伝わらない話になっている。
法林氏:Y!mobileとUQ mobileを制限するという話でこの2つを並べているけれど、僕はこの2つの話は分けて考えるべきだと思うんです。UQ mobileは一応、WiMAXから始まって、KDDIが株式の3分の1を持っているUQコミュニケーションズという会社が提供するサービスのブランド。。Y!mobileは同じ会社、ソフトバンクのただの別ブランドなんですよ。
石野氏:金の流れも違います。
法林氏:お金の流れが違うので、本来であれば原価も違うはずなんですよ。それをいっしょくたにして話をしようとしているけど、それは違うでしょうと。イー・モバイルを買収し、ウィルコムと一緒にしてY!mobileを作りましたが、ソフトバンクと同じネットワークで同じ会社ですよといわれて、なんで同じ会社なのに料金が違うの? という話になっちゃうじゃないですか。確かに T-Mobile(ドイツの携帯電話会社)とcongstar(T-mobile傘下のMVNO)みたいな話もあるので、サブブランドはアリだとは思うんだけど、総務省として、MVNOにも同じ条件で出すべき、みたいな規制をサブブランドにするなら分かる。UQ mobileの問題はまた別で、他のMVNOと同じ料金でKDDIから回線を借りているはず、なんだけど、どうもいろんな計測サイトの情報によると、UQ mobileだけ、ありえない速さが出ることがある。おかしい。
石野氏:答えは、ありえない金のツッコミ方だと思います。UQ mobileもKDDIに回線を貸しているから、相殺ということになって、チャラにしている。
石川氏:UQコミュニケーションズが、モバイル事業だけKDDIに譲渡しないのかなと思って。もともとやっていた形に戻すんじゃないかなと。
法林氏:「KDDIバリューイネイブラー」に戻すってことね。あるかもね。
石川氏:auのサブブランドにして、意外としっくり行くんじゃないかなと。
法林氏:だけど、サブブランドにしないで、別会社の方が、僕は小回りが効いていいと思うんですよ。
石川氏:うーん。
法林氏:逆にY!mobileの方が突っ込まれやすいと思う。「別会社ですから」って言えるのは強い。
石野氏:言い訳にはなる。
法林氏:僕は、サブブランドとして持つならUQ mobileの形の方がきれいだと思う。
石野氏:健全ではありますよね。
法林氏:健全です、一応。資本が分かれているから。
石野氏:一方で、Y!mobileはそもそもソフトバンクの低料金プランという考え方もある。
石川氏:そう考えると、キャリアが安いプランを出しているんだから、いいことじゃんってことになる。以前、タスクフォースで出た1GBプランもあるじゃないかと。
石野氏:MVNOの促進を通じて競争を促進し、さらにそれによってMNOの料金を下げるのが目的なので、目的を達成できているじゃないですかってことですね。
石川氏:最終的に、国民がスマートフォンを安く使えるようになるのがゴールなんですよ。
石野氏:Y!mobileはゴールなんですよ。
石川氏:格安スマホという選択肢が出ることも1つの策だし、キャリアが料金プランを下げるのもアリなんですよ。
石野氏:下げたじゃないですかと。
石川氏:そう。去年の議論かな、総務省では一切、Y!mobileの話は出なかったんですよ。3キャリアの話だけをしていた。Y!mobileがあるっていうことを一切無視していた。
法林氏:僕らはそのときから、Y!mobileがあるじゃんって思っていたよね。
石野氏:ソフトバンクも「Y!mobileは1GBプランがある」と言っていた。
石川氏:言っていたのに、総務省は一切無視した。で、1年経ったら「Y!mobile、けしからん」と。それは違うだろって。