小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

JR東海・柘植康英社長「人間力が会社を強くする」

2018.02.21

◎30歳を過ぎたばかりの頃、雇用崩壊の現場に立ち会う

――国鉄末期には合理化交渉を経験されましたが、どのような気持ちでやり遂げられましたか?

「分割民営化直前の2年間、国鉄が崩壊していく最後の局面を迎えるなか、新潟鉄道管理局で人事課長を務めました。全員が新会社に行けるわけではなかったので、希望退職を募ったり、再就職の斡旋をしたり、首都圏の職場に移ってもらうなどして約3000人の人員削減を行ないました。

 大変だったのは約1000人に首都圏に異動してもらったことです。『東京に行ってくれ』と言っても、家族もあるし、親もいる中での厳しい選択です。誰もが、今の場所で今の仕事を、ということにこだわる。そんな時、残ってほしい管理部門の人間が『率先垂範(そっせんすいはん)』とばかりに出て行ってしまった。転出先で成功した人もいれば、うまくいかずに辞めてしまった人もいます。これは相当つらいもので、本当に雇用が崩壊する最後、ある種の〝修羅場〟を経験しました。あれよりつらいことは企業にはないと思いました」

――その時のつらさから得られたのは、どのようなことでしたか?

「国鉄時代は職員だけにとどまらず、管理者も無気力。幹部も組合との力関係で何もできない状況でした。そうした中で働く人はやりがいを持てず、前向きに仕事ができなかった。荒廃した人の気持ちは、一朝一夕で変えることができません。だからこそ、新会社では社員や管理者がやりがいを持って仕事をすることができなければ、分割民営化はうまくいかないだろうと感じていました。やはり、社員がこの仕事に携われてよかった、この会社で働けてよかったと思えること。これが基本だと思います。

 社員の欲求には『給料が高いほうがいい』とか、『待遇がいいほうがいい』とかいろいろあります。しかし、それだけではなく、国鉄時代には全くなかった、『自分が評価されている』『ほめられる』『何かの役に立っている』、そうした思いを社員に実感させ、職場の居心地をよくしないといけない。この会社にいてよかった、と思えるようにしなくてはと考えています」

◎仕事の意欲を高めるための多彩な社員教育プログラム

――社員が誇りを持てる会社にする、その中心にあるものが社員教育なのですね?

「そうです。静岡県三島市に当社の総合研修センターがありますが、約1万8000人の社員のうち約6400人が毎年ここで実務研修を受けていますし、自己研鑽のための社内通信研修も、約5600人が受講しています。こうした社員の向上心を支援する取り組みを積極的に行なうほか、がんばった人が報われる人事制度などで社員のモチベーションを高めています。

 こうした人材教育のための投資を惜しまないことが大切なのです。まさに『植木鉢の土』みたいなものですね。土が健全であれば何でもうまく育つ。社員が安全を大切にするという意識の木も育つし、ほかの木も育ちます。

 たとえば、新幹線には最新のシステムが導入されていますが、列車の運行が乱れた時には、人が知恵を出さないと成り立たないことが多くあります。現場は駅、指令、車両、電気などに関わる人たちのチームワークによって成り立っています。したがって社員の働く意欲や一体感、向上心は安全を守るうえで欠かせない要素です。これをどうやって大きくしていくかは、植木鉢の土を本当に元気にしていくことに通じるものがあります」

――離職率の低さは、こうした取り組みの成果の表われでしょうか。

「確かに、当社の離職率は1.2%にとどまり、2016年に厚生労働省が発表した約8%と比べると大幅に低い。これは社員が満足しているひとつの指標ととらえています。その意味で言うと、かつて多くの企業がそうであったように、日本的な経営と言われるものであり、終身雇用や年功序列など、基本はその制度だと思っています。鉄道の技術は1年ずつ腕に力をつけて成長していくもので、年功序列に合った世界といえます。またチーム全体の力が上がるように、その中でがんばった人が評価される成果主義。これと年功序列を合わせた制度が必要だと思います」

〈列車の安全運転を担う社員が一斉に行なう実践的な訓練〉

列車の安全運転を担う社員が一斉に行なう実践的な訓練

毎年実施される総合復旧訓練では、起こり得る様々なトラブルを想定して、実践的な訓練を行なう。脱線時の対応から大雨で崩れたのり面に土嚢を積む作業まで内容は多岐にわたる。
写真提供/東海旅客鉄道

〈離職率1.2%を誇る高い定着率の背景にある研修制度〉

離職率1.2%を誇る高い定着率の背景にある研修制度

社員ひとりひとりが意欲を持って仕事に取り組めるよう、集合研修や独自の方法を採用したOJTが行なわれる。その他、各系統の専門業務知識が自主的に学べる社内通信研修も実施。
写真提供/東海旅客鉄道


@DIME公式通販人気ランキング


@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2022年11月21日(月) 発売

DIME最新号の特別付録は「携帯型スティック加湿器」! 特集は「マネしたくなる!最強の仕事基地#デスクツアーNo.1決定戦」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。