DIME これまでそういった思考習慣を持っていなかった人も、身につけることはできますか?
堀野 できますよ。例えば今日、ポジティブなことって何かありましたか?
DIME えっと、ここへ来るまで本を読んでいて、クライマックスの手前のちょうど区切りのいいところで駅に着いたんです。帰りの電車で本を開くのが楽しみです!
堀野 ああ、いいですねー。ほかには?
DIME ほかには?(そんな急に言われても……)あのー、マクドナルドで、セットのポテトをSサイズに変更したら50円値引きしてくれました。
堀野 では3つ目はどうですか?
DIME 3つ目ですか!? (苦しい)えーと、2歳の娘が朝、あまり泣かなかったです。
堀野 素晴らしい。今あなたは、一見普通のことをポジティブなこととして捉えることができました。
DIME 確かに!
堀野 日常のシンプルなことからポジティブなことを思い出して、それをメモしてみてください。それに慣れたら、次は「今日自分が誰かにしてあげたポジティブなこと」を毎日メモします。例えばティッシュをとってあげたとか、おはようって言ってあげたとか。誰もが、誰かに必ず何かをしてあげているはずなんです。でもそれはあまりにも日常的で普通なことなので、特別ポジティブなことだと意識していないと思うんですね。
DIME なるほど。そうやって少しずつ「ポジティブの種」に気づけるようになろうということですね。
堀野 できればそのとき、メモは文字で書くだけじゃなく、イラストをつけてみてほしいんです。今日、あなたが娘さんにケーキを買って帰ろうと思っているとします。手帳に「ケーキ」と書いてみてください。
DIME (ケーキ……と)書きました。
堀野 その隣にケーキの絵も。そして喜んでいる娘さんとあなたの顔も描いてみてください。
DIME ……描けました。下手で恥ずかしいですけど。
取材中、堀野教授に促されて本誌記者が描いたイラスト。お土産のケーキと、喜ぶ娘、そして僕。絵心なくてすいません!「上手くなくても大丈夫。自分さえわかればOKなんですから」(堀野教授)
堀野 いやー、かわいいですね。描いているとどうですか、思わず笑顔になりませんか?
DIME (まだちょっと恥ずかしいけど)気持ちがほころびますね。
堀野 「俺って意外と絵うまいな」と思ったとしても「絵心ないな」と思ったとしても、どちらでもいいんです。イメージを言語ではなく絵にする(視覚化する)ことは、発想を膨らませ、イメージをより鮮明にしてくれます。体操の内村航平選手やサッカーの中村俊輔選手のノートも、イラストが満載でしたよ。