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【開発秘話】半年で2万台売れた無印良品の『豆から挽けるコーヒーメーカー』

2018.01.07

■連載/ヒット商品開発秘話

 無印良品が2017年2月に発売した『豆から挽けるコーヒーメーカー』の売れ行きが好調だ。発売前の予約販売で用意していた台数を即完売し、以降注文が殺到したことから、8月下旬まで予約販売で対応せざるを得なかったほどである。

『豆から挽けるコーヒーメーカー』は、プロがハンドドリップで淹れる美味しいコーヒーの実現を目指して開発された。コーヒーミルを搭載しているが、同様の既存品が搭載するブレードカッターミルではなく、業務用のフラットカッターミルを搭載。豆を一定サイズに挽くことができ、安定した味を出すことができるようになった。価格は3万2000円(税込)と高めながら、8月末までに約2万台が売れている。

■丁寧で美しいプロの技を再現

 無印良品では一時期、ブレードカッターミルを搭載したコーヒーメーカーを扱っていた。しかし、同様のものが他社からも発売されていることから、無印良品で扱う意味に疑問符がつき、販売が終わってしまった。これを受け、今から3年ほど前に、社内で新たなコーヒーメーカーをつくるためのプロジェクトが発足した。

「豆を丁寧に挽いた淹れたてのコーヒーは美味しいことがわかっているにもかかわらず、忙しいために自動販売機で買って済ましてしまっている矛盾が、開発の一番最初のきっかけになります」

 無印良品を展開する良品計画の生活雑貨部エレクトロ二クス・アウトドア担当の中川実氏は、『豆から挽けるコーヒーメーカー』の開発のきっかけを、このように語る。


良品計画
生活雑貨部
エレクトロ二クス・アウトドア担当
課長代行
中川実氏

 プロジェクトは開始から1年ほど経ってから大きく動き出した。きっかけは、同社が展開する『Café&Meal MUJI』が、コーヒー豆の輸入販売などを行なうミカフェートのコーヒー豆を使い、プロが淹れるコーヒーを忠実に再現するというリニューアルしたこと。中川氏らプロジェクトメンバーは2015年夏、ミカフェートに美味しいコーヒーの淹れ方などについて話を聞くことにした。ここで、プロは非常に丁寧な工程をいくつか経て、美味しいコーヒーを淹れていることを知る。「コーヒーを注文してから出てくるまでの間に、『ここまでしているのか!』というポイントがいくつかありました。しかしそれらは、それまでのコーヒーメーカーでは再現できていないことがわかりました」と中川氏は話す。

 中川氏が感心してしまった、プロがコーヒーを淹れる際の丁寧な工程の代表例が、豆を均一に挽くことだった。豆を均一に挽くのは、そうしないと雑味が生まれてしまうためで、そのためにフラットカッターミルを使用している。中川氏は、「知識として知っていたことでも、実際に目にすると、すごく丁寧なもので、プロジェクトチームのメンバーは感銘を受けました」と振り返る。新たなコーヒーメーカーのコンセプトを、丁寧で美しいプロの技を再現することに見出した。

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