今やAmazonで何でも揃うと言われている時代。“紙の本離れ”も加速している中で、全国の街からは、従来型の書店が姿を消しつつある。一方、歴史と文学のまち・京都には、全国からたくさんの人々が訪れる魅力的な書店がたくさん存在する。
これからの時代の書店の理想的な姿とは?また、現代人の私たちは、いったいどのように本と付き合っていけばよいのだろう?
京都の人気書店『レティシア書房』の店主・小西さんにお話を伺った。
■本だけじゃなく、写真や音楽など“いいと思ったもの”をすべて共有したい
“京都のビジネス街”烏丸御池の交差点から徒歩約10分。交差点を右へ曲がり、細長い高倉通りを少し北上したところに『レティシア書房』があった。
店主の小西徹さんは、生まれも育ちも京都の“生粋の京都人”。とても明るく気さくなお人柄で、「なぜかよく大阪出身と間違われます」と笑う。
小西さんは、レコード店10年、新刊書店25年を経て、5年前に古書・ミニプレス専門の『レティシア書房』を立ち上げたという。
「大型の新刊書店勤務時代は、毎日大量の書籍を仕入れて並べるだけで精いっぱい。書籍が多すぎて常に忙しかったので、自分が良いと思う書籍を勧める暇もありませんでした。そこで、本当に良い本を紹介したいという思いから、『レティシア書房』を立ち上げました」
といっても、『レティシア書房』で扱っているのは本だけではない。レコードやCDも棚に並べられ、玄関から入って左手の壁はギャラリーコーナーになっている。このギャラリーコーナーは、2週間単位で作品が入れ替わるという。
「書店だからといって、本だけを販売しなければならないということはないと思います。今の時代は、たとえば雑貨屋さんやカフェなども兼ねている個性的な書店が求められているのでは。うちも、本だけでなく、音楽や写真などのアートもどんどんお客さんと共有していきたい」
ギャラリーコーナーに作品を展示するだけでなく、年に数回ほど店内でトークショーやライブなどのイベントも開催する。
「前回は、カナダ在住の写真家の方によるトークショーを開催しました。本棚の隙間に椅子をずらっと並べて(笑)。20人以上集まって、店の中がいっぱいになりました」