■2ストロークエンジン時代の終焉。新時代4ストスポーツへ
環境意識の高まりとともに、エンジンオイルを燃焼し排出する2ストロークエンジンは排ガス規制により、その役目を終わろうとしていた。
ホンダは2001年3月に最高出力5.0psの水冷4ストロークエンジンを搭載する『Dio』に進化した。そして、世界初の4ストローク50cc用電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を搭載した『スマート・Dio Z4』を2004年2月に、価格19万9000円でリリースする。
PGM-FI化と同時に50ccスクーターで世界初の4バルブも採用されたエンジンは、毎分8000回転で最大出力5.3psを発揮する、ハイパフォーマンスなものとなった。乾燥重量は77kgへ増えてはいるが、4ストローク化によるデメリットを極力抑えた、スポーツスクーターの名にふさわしいモデルとなり、2015年まで生産された。
一方のヤマハは2007年10月に、最大出力4.2ps、水冷4ストローク49ccエンジンを搭載する新型『JOG CE50』を14万3000円(税別)にて販売、2009年1月にはリアスポイラーや前後レッドのブレーキキャリパーを備えるなど、スポーティな装備を奢った『JOG CE50 ZR』を価格18万円(税別)で追加。スポーツスクーターの名を今に伝えている。
■33年の時を超えて、あの伝説のツートンカラーが復刻
2016年3月10日に、往年のファンを喜ばせるスポーツスクーターが追加となる。それは、1983年の初代JOGのカラーリングをイメージした、『JOG CE50(JOG SPECIAL)』だ。
濃いブルーをベースに、白、ピンクを配した〝JOG SPECIAL〟の価格は14万9000円(税抜)だ。33年経っても初代の価格9万9000円から、5万円しか違わない。そしてエンジンの最大出力は奇しくも同じ4.5ps。
販売台数は1500台。往時を思い出して、もう一度あの軽快な50ccスポーツスクーターで、ちょっとその辺を走ってみるのも悪くない。
文/中馬幹弘(ちゅうま・みきひろ)
慶應義塾大学卒業後、アメリカンカルチャー誌編集長、アパレルプレスを歴任。徳間書店にてモノ情報誌の編集を長年手掛けた。スマートフォンを黎明期より追い続けてきたため、最新の携帯電話事情に詳しい。ほかにもデジタル製品、クルマ、ファッション、ファイナンスなどの最新情報にも通じる。
※記事内のデータ等については取材時のものです。