■50ccバイクのヘルメット規制に合わせ“メットイン”が主流に
1986年に、原付を含む全てのオートバイに対して、全ての道路でのヘルメットの着用が義務化された。通勤や通学にもヘルメットが必要となり、駐車中でのヘルメットの保管が重要となった。50ccは軒並み“メットイン”が主流となり、多くがシート下にヘルメットを収納するスタイルとなった。
そんな流れを受けて『DJ・1』に替わって登場したのが『Dio(ディオ)』だった。
フルフェイス・ヘルメットも収納できる24Lのセンタートランクをシート下に内蔵し、また、燃料タンクをフロアステップ下に配置し、ステップサイド給油口を採用。スリムでシャープなエアロデザインは『Dj・1』よりも洗練度を高めていた。
エンジンは空冷2ストロークで最大出力6.4psを発揮。乾燥重量は59kgとやや重くはなったもの、俊敏な走りは健在で、大人気となった。
そして発売以来の約6年間で生産累計150万台という大ヒットモデルになった『Dio』に、ついに、最大出力7.2psと50ccバイクの出力規制上限の空冷2ストロークエンジンを搭載するモデルが加わった。
それが1994年1月発売の『Dio ZX(ディオ ZX)』だ。
フロントにはテレスコピック式のサスペンションを採用し、油圧ディスクブレーキも装備。90/90-10サイズのワイドタイヤを採用し、ガッチリとした走りを実現する。デザインも流れるようなフラッシュサーフェスを基調とするスポーティで躍動感あふれるものが採用されていた。価格は16万7000円。
一方、ヤマハでも『JOG』のメットイン化が進められていた。1989年に登場した3代目となる『ニューJOG』は、メットインと最大出力6.8psのモデルとなった。そして、1994年12月、7.2psの空冷2ストロークエンジンを搭載した『SUPER JOG ZR(スーパー・ジョグ ZR)』が登場した。
オイルダンパー採用のフロントフォークの先にはブレンボのディスクブレーキが奢られ、リアガスショックにはリザーブタンクを採用。乾燥重量は66kgとなったが、キレのある走りを見せた。
価格は16万8000円になったが、パーツの精度、クオリティを考えればバーゲンプライスともいえようか。