■明るさ以外にも影響する各項目の数値
ちょっと待てよ、と。
何で3項目をいじらなきゃならないのか。明るさを調整するだけなら、どれかひとつでいいじゃないか。筆者は最初に露出の三角形を知ったときに、そう思いました。しかし、やはり3つの項目をいじらねばならないのです。なぜなら、これらの項目は明るさ以外の要素にも影響を与えるからです。
○シャッタースピード
シャッタースピードが遅くなるほど、手ブレのリスクが高まります。シャッターが開いている時間が1/8000秒なら、1/8000秒間静止できれば手ブレしません。ですが、極端な例ですが10秒間シャッターが開いていたなら、10秒間静止していないと写真はブレてしまいます。
被写体が動いている場合も同様です。スポーツ、走り回る子供など被写体が静止してくれない場合は、シャッタースピードを速くしないとブレてしまいます。
○絞り値(F値)
基本的には、絞り値が小さいほど背景がボケやすくなります。日本人は背景ボケが好きです。美しい背景ボケの写真を撮りたいがために、一眼カメラを買った人もいることでしょう。ボケに関しては色々な要素が入りますが、他の要素が同じであれば、絞り値を小さくするほど背景がボケると考えて良いでしょう。
ちなみに、この写真のボケ味は世界各国で「BOKEH(ボケ)」と呼ばれています。もちろん日本語が語源です。ボケと言えば日本なんです。
○ISO
イソ感度は最も純粋に明るさに影響する項目ではあるのですが、上げすぎるとノイズが発生して画質が低下するというリスクを抱えています。ノイズをどこまで許容するかは撮影者の好みや被写体によって変わり、またどこまで上げるとどの程度のノイズが発生するかは状況やカメラの性能によって変わります。ここはひたすら撮って、上限を自分で見つけるしかありません。
つまり「もうちょい明るくしたい→しかし子供がはしゃぐのでシャッタースピードはもう少し上げたい」
「背景をボカしたい→しかし太陽の光が強くて全体的に真っ白なのでもう少し暗くしたい」
など、あちらを立てればこちらが立たずというような状況で、なんとか写真を成立させるために、各項目を自分で微調整できるのがマニュアルモードなのです。オートでは対応しきれなかった妥協点を探ることができます。