■2000年代の学校給食はこれ!
では、2000年代に入ってから、学校給食はどのように進化したのだろうか。田中さんに、現在の学校給食の特徴と、メニュー例を教えてもらった。
●2003年(平成15年)
メニュー例)米粉パン、鶏肉とカシューナッツの炒め物、ツナとキャベツの冷菜、コーンスープ、果物(みかん)、牛乳
●2006年(平成18年)
メニュー例)キムチチャーハン、チーズ春巻き、中華風じゃこサラダ、きのこスープ、やわらか杏仁豆腐、牛乳
「2000年代に入ると、食に関する指導の充実が求められ、地場産物の活用や自給率の向上の観点から、米粉パンや地場産物を用いた献立作成が積極的に推進されるようになりました。
2005年には、食育基本法の制定、栄養教諭配置が開始されました。2008年には、学校給食法の改正や学習指導要領の改訂により、食育の推進が明記され、学校給食の献立が食育の教材として活用されるなど、学校給食が学校における食育の中心としての役割を果たすようになりました。
このように、学校教育において食育を担う日本の学校給食は、世界で最も優れた学校給食制度として、注目されています」
明治時代から2000年代の現代まで、学校給食はこのような変遷をたどって来た。こうして見てみると、中には、自分が小学校、中学校時代に親しんでいた懐かしい給食メニューもあっただろう。
2000年代の今に至っては、どんどん「食育」目線でつくられるようになってきたようだ。今の学校給食はどれほど豪華になっているのかと想像していたが、より子どもたちの成長や食の安全のことを考えられて作られているようだ。自分の生まれ育った地域のものが食べられるのも魅力的である。
<メニュー内容・メニュー写真の出典>
独立行政法人日本スポーツ振興センター 学校安全Web「年代別モデル献立資料」より
http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/siryo/tabid/1127/Default.aspx
<その他の参考資料>
※1 「GHQサムス准将の改革」C,F,サムス著 竹前栄治翻訳(桐書房)
※給食の取組:文部科学省
http://www.mext.go.jp/syokuiku/what/kyusyoku.html
※ミツカン水の文化センター「学校給食の変遷」(資料提供:(財)千葉県学校給食会)
http://www.mizu.gr.jp/images/main/archives/recommended/33_kyushokunenpyou.pdf
(取材協力・監修)
管理栄養士 田中延子さん
株式会社オフィス田中 代表取締役。京都府立大学京都和食文化研究センター、淑徳大学看護栄養学部、東京家政学院大学客員教授。
平成15年栄養教諭制度創設のための文部科学省中央教育審議会「食に関する指導体制の整備について」の専門委員として栄養教諭制度の創設に携わる。
栄養教諭制度がスタートした平成17年4月に文部科学省学校給食調査官に就任し、学校給食と栄養教諭制度の普及・充実に努める。7年間の在任期間において、学校給食法及び学習指導要領に食育の推進を明記するなど、食育に関する法の整備等に努める。
現在は、栄養教諭を目指す学生の指導と日本の学校給食制度を海外に紹介する活動を展開している。著書に『基礎からわかる・授業に活かせる食育指導ガイドブック』(丸善)など。
http://school-lunch-support.jp/
取材・文/石原亜香利
※記事内のデータ等については取材時のものです。