■あなたの知らない若手社員のホンネ
~カルビー・伊藤健人さん(25才、入社3年目)~
前編はこちら
「若い部下の考えていることがよくわからん」という管理職。若い世代にとっても、同世代がどのような仕事をしているのか。興味のあるところだ。20代の社員はどんなマインドを秘めているのか。入社3~5年の社員の話に耳を傾け、彼らの本音に迫るのがこの企画である。第5回目はカルビー、海外事業本部の伊藤健人さん(25才)入社3年目だ。
海外戦略の主力商品である『さやえんどう』。日本では基本的に素材を引き立たせるさっぱり塩味が売れ筋だが、海外ではチーズ味、トマト味、ブラックペッパー等々があり、お国柄の違い感じた。日本にはない海外の商習慣の露骨さを垣間見て、海外でのビジネスへの取り組みを自覚した。そして――
●黒い変色
入社2年目は北米と南米の一部を担当したんですが、アメリカには弊社の工場が3つあって、僕はオレゴン州の工場で『じゃがビー』を担当したんです。日本で売られている『じゃがビーは、アメリカの工場で100%生産されています。日本の品質保証部の人たちを同行して現地工場に入り、細心の注意を払っているのですが、日本の厳しい品質管理と比べるとアメリカの場合は多少緩やかでして。
工場ではじゃがいもの皮等を取り除くピッキングを経て、油で揚げるフライの工程に入るのですが、皮がわずかでも残っているとフライにした後、虫の死骸のように黒く変色したものが残ってしまい、容器の中に混入してしまう。それがクレームとして指摘されたのです。
「日本の人、神経質すぎますね、アメリカ人はそんなの気にしない」説明しても、工場の40代の担当者は首を傾げて、両手を広げるばかり。「日本のお客様は世界一、目が肥えているんです」黒く変色した証拠写真を見せても、なかなか理解してもらえない。
「原料の生地から皮等を取り除く、ピッキングの作業を徹底してもらいたいんです」そんな要求に現地の責任者は難しい顔をする。ピッキングの作業をより充実させるためには、ピッカーの人件費や廃棄費用で、かなりの金額になります。
オレゴン州の工場は100%出資の子会社なので、結果的に僕らの要求を実行してもらいましたが。海外で商売をしていると、日本の消費者がいかに厳しいかを実感させられますね。それをビジネスの相手に理解してもらうことが、大事な仕事だと痛感しました。