●性格はネガティブ
ピッカピカな電飾とは違い、実をいうと私、性格が基本的にネガティブなんですよ。例えば、業務の一つとして販売店で、商品がどれだけ売れたか、POSデータの蓄積と管理を担当しているんですが。昨年、私の提案で新しいソフトウェアを導入して、これまで人の手でやっていた作業を機械化したんです。楽になると思ったのですが不具合が多くて、「結局、人の手で作業をしたほうが早かった。200万円かけて導入したけど、あまり意味がなかったですね」みたいな愚痴を上司にこぼしたんです。すると、
「池田さんが検討して導入しのだから、主体的に改善しようとしなさい。トラブルが改善してうまく稼働するようになれば、時短に繋がるのだから。どうしてそういう考え方ができないのかな?」と、注意されまして。今更ながら、失敗にしか目がいかない自分の悪い点を気付かされましたね。
『赤毛のアン』はエステーが社会貢献活動の一環として、15年間主催するミュージカルです。春にオーディションを行い、子供達を受け入れ、夏に全国8カ所で公演を行い、1万5000人ほどのお客様を無料で招待します。私は『赤毛のアン』の担当になって2年になります。リハーサルの時から一生懸命に演じる子どもたちの姿を目にして、私は一人ウルウルしてしまう。
公演の時は全国の支店のセールス担当者に手伝ってもらうことになっています。そこで、
「今年から公演会場にリーダーを設けたいと、セールス担当者に発信しようと思っているんですよ」と、私は上司に提案したんです。それまでは「受付をお願いします」「会場整理をやってください」という感じで、こちらからセールス担当者に頼んでいたのですが、社員の方々に一層の情熱を持って取り組んでいただきたい。そこで現場にリーダーを設けて、さらに主体的に関わっていただきたいと、私の提案にはそんな思いが込められていたんです。
しかし、池田咲さんの失敗は加速し、ついに会社に辞表を提出しなくては……、と頭をよぎる窮地に陥ってしまうのだ。いったい何が起こったのか。
後編へ続く。
取材・文/根岸康雄