■あなたの知らない若手社員のホンネ
~株式会社バンダイ 渡邊奈津美さん(26才、入社4年目)~
「若い部下の考えていることがよくわからん」という声をよく耳にするが、20代の社員は何を考えているのだろうか。また、同世代はどのような状況に置かれ、どんな仕事をしているのか。入社3~5年の社員の話にじっくりと耳を傾ける。
第二回目は株式会社バンダイ、ガールズトイ事業部マーケティングチームの入社4年目、渡邊奈津美さん(26才)。取引のない業界のバイヤーに新商品を持ち込み、業界を知らないと怒られたり、『たまごっち』のマーケティングの担当時は、相談されることなく上司同士が物事を決め、ちょっぴり悔しい思いを味わったり。ホウレンソウの大切さに気づき、徐々に仕事ははかどっていくが――。
前編はこちら
●認められた!
入社3年目、法人の営業を担当しました。大手量販店のおもちゃ売り場を巡回して、店長さんとお話をして、売り場の陳列棚を改善したり、バイヤーさんと商談をしたり。店舗の責任者の中には気難しい方もいます。ある店舗では、『たまごっち』の販促物に「故障中」の張り紙が貼ってあって。手に取ってみると、別に問題はなさそうなんです。
「これどこが壊れているんですか」と店長に聞いたら、
「テメーの会社の販促物なんだから、故障の箇所ぐらい自分で把握しろ!」みたいな言われ方をしまして。
そこで私は店長に言ったんです。
「わかりました。有難うございます」と。
相手は私の父親ぐらいの年齢ですし、すごく怒っていたので、「故障なんかしてないじゃないですか」と言っても、火に油を注ぐだけで何にもならない。理不尽ですけど仕方ないと思いつつ、お店を後にする時に販促物の「故障中」の張り紙をそっとはがして。
その店舗は何回も巡回し、挨拶できる人間関係を築いたのですが、私の中ではずっと怖い店長さんでした。
そして1年後、
「実は担当を外れることになりまして、このお店にも来られなくなっちゃいます」と、店長さんに挨拶したんです。すると、
「若いし女の子だし、男の営業に比べてちやほやされているんじゃないかと思って、最初から厳しく応対したんだ」と、言葉をかけてもらいまして。なぜ私に厳しかったのか、理解できたのですが、次の店長さんの言葉が嬉しかった。
「キミは僕がどんなに言っても強かったよ。芯がしっかりしている」
認められたんだという思いが、こみ上げてきました。