■珍しい虫も飼育対象に
飼育されている虫は全て研究対象だが、一部例外もある。虫全体に興味を持ってもらえるよう、クワガタやスズムシをはじめ、タランチュラやオオグソクムシなどの珍しい生物も飼育している。
「15年前に建物をリニューアルした際に事業案内につなげるため、デザイン会社と相談しながら展示機能を充実させました。一般公開はしていませんが、校外学習などで子供たちがよく訪れるので、できるだけ楽しくわかりやすい展示にしています」
■試験用に様々な種類が必要
肝心の飼育は展示スペースの奥にある部屋で行なわれている。中をのぞかせてもらうと、棚にずらりとケースが並ぶ。その中にGがすくすくと育っているという……。
「ゴキブリは世界で4600種類、日本で58種類いると言われています。家の中でよく見かけるチャバネゴキブリやクロゴキブリ、ワモンゴキブリは、日本の固有種であるヤマトゴキブリを屋外に追い出してしまった。
ここにはクロゴキブリだけで1ケースに400〜500頭いますが、もともと繁殖力がとても旺盛で、通常は成虫になるのに1年かかるところを、飼育室は25〜27度と快適なので半年から8か月で成虫になります。ただし、生息するのは日本と北米だけと言われて。が、原産国は中国南部とも言われています」
ずらりと並ぶ飼育ケース。餌はペットフードのようなものを与えている。
世界的に見ると、害虫としてはワモンゴキブリとチャバネゴキぶりの数が多く、中でもチャバネゴキブリは殺虫剤に対して抵抗性遺伝子を持った個体も存在するそうだ。
「抵抗性のついたチャバネの飼育室があり1ケース内に1000〜2000頭ほど育てています。生まれた時は1mmくらいと小さいが、脱皮を繰り返し、成虫になると翅(はね)が生えてそこからは大きくなりません」