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中小企業によくある不条理な出世競争の実態

2017.11.19

■連載/あるあるビジネス処方箋

ほとんどの職場で社員間で昇格をめぐる競争はある。俗に言うところの「出世競争」だ。通常、大企業の競争ならば、大卒(新卒)で22~23歳で入社した社員が50人いる場合、誰が40~50代で役員や社長になるかはまずわからない。

私がこの27年で取材をしてきた中小企業700~800社ほどの7割ほどの社長、役員、管理職、元社員たちから聞くと、社員間の昇格をめぐる競争は、「筋書きのある競争」になっていた。あらかじめ、誰が勝つのか、負けるのか、という点では結論のある競争なのだ。社長の心の中には、人事についてあらかじめの構想がある。たとえば、次のようなものだ。

「いずれは、社員Aを自分の後継者として社長にする。数年以内に解任し、その次の社長を社員Bにやらせてみよう」。

今回は、この筋書きのある競争について考えたい。

■あらかじめ、結論が出ている

昇格が決める要素が仕事の実績や成果によるものならば、何ら問題はないのだろう。しかし、実際は、社長のその時々のフィーリングで構想が決まっている可能性がある。特に30代前半くらいまでに何らかの活躍などで、社長の「お気に入り」になると、その社員は構想の対象になる。構想とはいえないほどのおぼろげな場合もあるが、多くの中小企業では、あらかじめ昇格の競争に結論があることは間違いがない。

実は競争をする前に、ある程度の結論が出ている。つまりは、筋書きがあり、それを書くのは社長だ。それを覆い隠すため、中小企業の社長、役員たちは「うちの会社は実力主義」と盛んに誇張している、と私は見ている。

■「筋書きのある競争」

「筋書きのある競争」は、特に社長が創業者の場合、一段と鮮明になる。たとえば、創業者の社長には、「自分の息子や娘を後継者にしよう」という考えが心の奥深くにある。だからこそ、息子にとって脅威になるような社員を高く評価することはしない。一時的に認めたとしても、その社員を役員にして強い権限を与えることはしない。

抜群に優秀であろうとも、高い実績を残していようとも、認められることはない。社長は様々な理由をつけて、子息よりも下に位置づける。そうしないと、会社が成り立たない。創業者であり、大株主である以上、他人に次々と経営に関する権限を与えることはできない。優秀であろうとも決して、息子や娘よりも上に上がっていくことはないのだ。会社は創業者であり、オーナーの社長のものだ。少なくとも、中小企業の創業社長はこう信じ込んでいる。

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