■連載/あるあるビジネス処方箋
お金の支払いが、発注・受注の双方で合意になった日時よりも数週間から数か月遅れる。私は13年前、フリーになった。現在に至るまでに、出版社、広告会社、プロダクションなど140社ほどの会社から受注した。その中で支払いが遅れた会社は、20~30社になる。遅れる期間は、数週間~数か月間。最近も、支払いが1か月半ほど遅れた会社がある。
今回は、お金の支払いが遅れる会社の特徴を私の経験をもとに取り上げる。会社を選ぶときや、現在、在籍中の会社を見るときに参考にしてほしい。
■同じことを繰り返す
お金の支払いが遅れる。このようなことは、特に中小企業やベンチャー企業に多い。しかも、何度も繰り返される傾向がある。私の経験でいえば、1社につき、1年で少なくとも3~5回続く。たとえば、1月末に振り込まれるはずが2月半ばになる。3月末に振り込まれるべきものが5月上旬に、6月末の分が7月中旬に。さらには、支払いが遅れることに、担当者から明確な説明がない。「説明らしき」ことを言うが、悪いとはさほど思っていないようだ。それどころか、同じことをまた、数か月以内に繰り返す。
■支払いが遅れる理由
支払いが遅れる理由は、主に2つある。1つは、担当者が経理課などへ手続きを怠ったことで遅れるケース。もう1つは、会社全体の資金繰りが苦しいために、経理課が外部スタッフに定時に支払うことができない場合だ。遅れることを繰り返すときは、こちらの可能性が高い。
こういう会社は、社員への給与の支払いや、事務所の家賃や様々な固定費などの経費を支払うことでいっぱいで、それ以上のお金がない。そこで、文句を言ってこないと思える外部スタッフなどへの支払いを遅らせ、当面の資金のやりくりをする。つまり、資金が足りない、いわゆる資金ショートになっている。倒産や廃業になるとき、資金ショートを繰り返した揚げ句、不渡りを出して、銀行取引停止になるパターンが多い。
■辞める社員が後を絶たない
資金ショートを繰り返す会社は、正社員の賃金が5~10年と慢性的に伸び悩む。少なくとも、大企業のような定期昇給は長い間、なきに等しい。年1~2回支給の賞与の額は据え置きか、減額になることもある。ときには、支給されない場合もある。こうなると、辞める社員が後を絶たない。特に30代前半までで、仕事に前向きな社員に多い。一方で、30代後半以上の特に男性社員が残る。平均年齢がますます上がり、20~30代前半の社員の賃金が一段と伸び悩む。売上は毎期、伸び悩み、職場の雰囲気がまったりとして、よどんだ空気になる。社員たちは机に向かい、何かをしているが、仕事の成果はなきに等しい。