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トラブルメーカー社員とあえて闘うべきでない理由

2017.10.10

•反感を買われ、総スカンになる仕組み

 3年ほど経った2016年、5~10社と再び、仕事をするようになった。3~5人のうち、1人はすでに退職していた。聞く限りでは、職場で孤立し、口をきく人がいなくなり、いつの間にか、辞めたそうだ。残りの3~4人は在籍しているが、他部署へ異動となっていた。

 いずれもデータ管理部や倉庫など、40代後半以上で昇格ができない平社員が多数いる部署に移っていた。30歳前後でありながら、そのような閑職の部署にいるのは前例がないという。トラブルメーカーである彼らを引き取る部署がないのだそうだ。人事部が仕方なく、20~30代のほとんどの社員がいかない部署に異動をさせたらしい。30歳前後で社内失業の身になっているのだ。

 この話を聞いて思い起こしたのが、2010~2013年、3~5人の周囲にいた社員たちである。ほとんどが、3~5人と表向きは話を合わせてはいた。厳しく叱ることはしていない。私には、その姿勢が無責任に見えた。なぜ、叱りつけないのか、と不信だった。しかし、3~4年という月日が経つと、こういうトラブルメーカーは排除されていくものなのだ。誰かが厳しく叱ることをしなくとも、皆から反感を買われ、総スカンになり、生き場を失うのだ。

•黙々と仕事をして力をたくわえればいい

 トラブルメーカーは、あなたの職場にもいないだろうか。部下や後輩、同僚が身のほどをわきまえることなく、あなたに生意気な言動をとったとしても、感情的になるべきではない。怒るべきではない。相手にするべきでもない。その社員は、排除されていく可能背が高い。かろうじて5年をなんとか生き延びたとしても、その後はしだいに浮いた存在になり、辞めていかざるを得なくなる。そのような人に何かを言い返すと、あなた自身も「同類」と思われかねない。毅然たる態度で、相手にしなければいいのだ。周りは見ていないようでいて、見ている。

 一定のレベル以上の社員が集まる職場には、良識、常識があり、それがどこかのタイミングで働く。

 会社のこういう冷徹なからくりが見えないうちは、つい、感情的になり、この類の人と同じ土俵に上がり、闘ってしまう。だが、リスクをおかしてまで闘うような相手ではないのだ。取るに足らないことだ。あなたが、損をするだけではないか。数年以内に何が起きるかをじっと観察し、自分は黙々と仕事をして力をたくわえればいい。それこそ、賢い生き方なのだ。職場の良識を信じてほしい。

文/吉田典史

ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。

■連載/あるあるビジネス処方箋

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