DIMEラウンジストアで幾度もコラボを展開している「吉田カバン」。吉田カバンって何でこんなに人気なの? 今さら聞けない歴史やその人気の秘密を担当デザイナーの話を交えて、探っていこう。
◎一針入魂の精神で、時代に合った機能性+ファッション性を取り込む
創業当初からメイド・イン・ジャパンにこだわり、確かな縫製力と機能性、ファッション性を兼ね備える吉田カバン。その歴史は1935年、創業者・吉田吉蔵氏が神田須田町に吉田鞄製作所を設立したことから始まる。吉蔵氏は12歳でカバン職人となるべく修業に身を投じ、17歳で関東大震災に遭う。その際、紐の両端に家財を結びつけて肩から掛けて荷物を運び出した経験から、「カバンは第一に荷物を運ぶ道具でなければならない」と考えるようになる。この理念こそ、吉田カバンの物づくりの原点である。29歳で独立後も「使うほどになじみ、長く愛用できるカバン」作りを目指して奮闘していく。
テレビ放送が始まった1953年、戦後からの復興で集合住宅が増え始めた頃、ファスナーの開閉でマチ幅を変えられる『エレガントバッグ』を発表。狭い室内でもコンパクトに収納できる画期的な機能で大ヒットとなり、一躍、吉田の名が知られるようになった。
1962年には自社ブランド「ポーター」を発表。当時、日本のバッグメーカーがプライベートブランドを持つことは珍しいことだった。さらに1983年、米空軍のフライトジャケットがモチーフの『タンカー』シリーズを発表し、ポーターを代表する存在へと成長。1984年には次の自社ブランド「ラゲッジ レーベル」の、赤バッテンのタグを付けた『ライナー』シリーズを発表、一時期同社を牽引した。
●1953年『エレガントバッグ』開発
ファスナーの開閉で、カバンのマチ幅を変更できる画期的なバッグとして大ヒット。戦後の復興期にマッチした機能性で評価を受けた。こちらは80周年記念で復刻した『エレガントバッグ(M)』6万9120円(税込み)。
今回、お話を聞いたデザイナーの長谷川進さん(右)、松村力弥さん(左)。
吉田カバン創業者の吉田吉蔵氏。12歳でカバン職人の修業に励む。