【15】
フランク・シナトラ『スイング・イージー』(Capitol)1954年
「アメリカの声」シナトラはポップスとしても聴けるが、じつは優れたジャズでもある。上手く聴かせることより、まず全身でオレ=個性を表現することを考えている。ここがジャズたる所以だ。
【16】
アニタ・オデイ『スイングス・コール・ポーター・ウィズ・ビリー・メイ』
(Verve)1959年
ビッグ・バンドの前に立つアニタ。黒人の粘りや重さとは違う、歯切れよいリズムが独特のスイング感を醸しだし、バンドが彼女の歌に引っ張られているのがわかる。歌で音楽を仕切る姉御なのだ。
【17】
ビリー・ホリデイ『アット・JATP』(Verve)1945〜46年
人種差別や社会の軋轢といったイメージで語られがちなホリデイだが、もっと歌を聴くべきだ。ここでは腕利きバンドをバックに、緩急自在に生き生きと歌うホリデイがいる。ホントに上手いのだ。
【18】
チェット・ベイカー『シングス』(Pacific Jazz)1954〜56年
トランペット名手の、たぶん余芸で始めたヴォーカルも、超個性的ゆえにいつしか本芸に。頼りなげで声量もなし。でもそこが女子のハートをわしづかみにするとは本人も思わなかったに違いない。