■処方設計に苦慮
開発に着手したのは、発売の1年ほど前。業務部企画調査課の島田真実子さんは、「商品化の話が具体化するまでに1年近くの時間がかかりました」と振り返る。
ターゲットは、セブン-イレブンを利用する主要顧客層とした。セブン-イレブンを利用する主要顧客は30〜50歳代のビジネスパーソン。同社としても『ヤクルト』のユーザーで拡大したいところだった。
『ヤクルト』で新たなユーザー層を開拓するには、魅力的な付加価値が欠かせなかった。そこで同社は、付加価値を容量と中身に求めることにした。
まず容量については、飲み応えを重視することにした。開発部開発課の神谷亮佑さんは、「飲み応えのある容量は、以前からユーザーの要望として挙がっていました」と明かす。ベーシックな『Newヤクルト』で65mlだが、どの程度あれば飲み応えを感じてくれるかは、ユーザーごとに様々。何を基準に決めていいかが悩ましかった。
ヤクルト本社 直販営業部チェーンストア課 係長
市川洋平さん(右)
業務部企画調査課 主事補
島田真実子さん(中)
開発部開発課 主任
神谷亮佑さん(左)
そこで参考にしたのが、同社の飲むヨーグルト『ミルミル』であった。『ミルミル』は100ml入りだが、『ミルミル』に注目した理由を神谷さんは、「飲み応えがあるという評価をいただいていたため」と言う。これにより、『毎日飲むヤクルト』の容量は100mlと決まった。
一方、中身については100mlを美味しく飲み切ってもらえるよう、甘さを控えめにしつつ、不足しがちな栄養素としてビタミンCとビタミンEをプラス。さらに健康志向の高まりに応えるべく、脂肪分をゼロにすることにした。ただ、ビタミンCとビタミンEをプラスすると、風味が従来の『ヤクルト』と変わってしまう。そのため、「ビタミンを添加しても賞味期限内であれば美味しく飲んでもらえる処方設計には苦慮しました」と神谷さんは振り返る。