■覚悟を決めて着座、そして離陸。
意気消沈する我々試乗部隊は、もはやまな板の上の鯉。観念して複座のフロントシートに乗り込む。タンデム(縦列)複座の本機は機長が後ろの席から操縦するので、試乗は前座で行なわれる。これがまた怖い。頼れるものが目の前にないのだから。
乗り込むとすぐにスタッフのみなさんが安全のためにシートベルトをギュウギュウと締め上げてくれる。安全のためとはわかっているが、パラシュートを事前に装着しており、すでに我が身をギュウギュウ締め上げている上での荒行だ。離陸前からもう、ぐったりしてしまう。そうこうしているうちに9000ccのエンジンに火が入り、やがてインカムから室屋選手の優しい声が聞こえてくる。
「そろそろ行きましょうか。離陸前にエンジンをチェックしたらスタートしますね」
はいはい、わかりました。もう、観念してます、なんて反抗心を示す気持ちの余裕なんて無い。けれども、地上で見送ってくれるみなさんに意地で笑顔を作り、手を振る。行ってきます! 生きて帰って来れると信じてます……