■ホームセンターで商品の特長を直接伝える
2012年6月、まず厚さ5cmの『エアリーマットレス』と3cmの『エアリー敷きパッド』を発売。その後、2013年に厚さ5cmでも固めの『エアリープラスマットレス』と厚さ9cmの『エアリーマットレス』を追加。2014年にウレタンと組み合わせた『エアリーハイブリッドマットレス』、2015年に暖かい側生地を採用した『エアリーWarmマットレス』を追加した。
なお、2012年に初めて投入された『エアリーマットレス』は、2013年になって側生地が見直された。2012年に発売したものの側生地は表裏ともにメッシュ生地だったが、「涼しいけど冬場は少し寒い、という声をいただいた」と岩崎氏。表裏ともにメッシュ生地にすると通気性が良すぎることから、片面をニット生地+綿に変更。冬場はメッシュ生地を裏側にすれば、寒く感じることなく快適に眠れるというわけである。
一番売れているチャネルは、同社らしいホームセンター。SAS(セールスエイドスタッッフ)と呼ばれるスタッフを店舗に派遣し、セルフ販売が主流のホームセンターで、店頭にマットレスを敷かしてもらい体験できるようにしたほか、商品の特徴などを直接伝えることに力を入れた。発売直後はこれを徹底して行なったが、一番安いもので2万円前後と高機能マットレスの中では安価にもかかわらず、「こんな高いものが売れるか」と言われたこともあったほど。しかし、実績をあげることができたこともあり、ホームセンターでの取り扱いが増加していった。
■異なる中材と組み合わせた商品展開
『エアリーマットレス』の今後の課題は、異なる素材の組み合わせた中材の提案にあるという。この課題に対する1つの取り組みが、『エアリーハイブリッドマットレス』である。『エアリーハイブリッドマットレス』は「エアロキューブ」と、アキレスが開発した無膜ウレタン「ムマック」を組み合わせた中材を使用したマットレス。無膜ウレタンとは従来の有膜ウレタンより通気性に優れており、丸洗いできる特徴を持つ。
開発のきっかけの1つは、ウレタン特有のプロファイル加工(波状カット)を好む人が多いこと。「半面を『エアロキューブ』にし、もう半面をプロファイル加工にしたウレタンにすれば、お客様は好みの方で寝てもらえます」と岩崎氏。ウレタン素材と組み合わることで、ウレタン素材の寝心地が好みの人たちにも手に取ってもらいやすいものをつくることにした。
ただ、ウレタン素材なら何を組み合わせてもいいというわけではなかった。条件は、「エアロキューブ」の通気性の良さと丸洗いできるという利点を阻害しない無膜ウレタンであること。一見すると、条件に合うウレタン素材を見つけるのが難航しそうに見えるが、企画段階で「ムマック」が見つかったという。異なる素材を組み合わせることもあり、耐久試験なども一から行ない、他の『エアリーマットレス』と変わらない品質を確認した上で上市した。
『エアリーハイブリッドマットレス』の中材。上下2層構造で、上段が「ムマック」、下段が「エアロキューブ」となっている