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なぜ会社にクレームを入れる超過保護な親が増えているのか?

2016.07.31

■「なぜ、辞める時まで説教されないといけないのか?」

 都内でカレーライスのチェーンを経営する40代の男性社長が、2014年に取材で話してくれたケース。フリーターとして働いていた男性(20代後半)が無断欠勤を繰り返し、連絡がとれなくなった。そこで社長自身が彼の家まで行ったところ、母親と口論になった。

「息子の使い方に問題がある。店長が息子に厳しい物言いをする。それが度重なり、嫌気がさしている」

 社長は、その場で「息子さんの勤務態度に大きな問題がある」と説明したところ、母親は「たとえ、それが事実であったとしても、丁寧に教えるのが雇う側がするべきことではないか」と反論した。「しかも、なぜ会社を辞める時まで、あなたに説教されないといけないのか?」と興奮し、強い口調で返してきたという。社長は普通に話し合うことができる相手ではないと察し、その場を離れたという。

■「どうして、息子をいじめるのか?」

 テレビ局で報道番組などを作る制作会社がある。キー局の関連会社で社員数は300人程度。ここで2015年に、退職強要があった。これは、本人の意志に反して退職を迫ることで、「不当な行為」ともいわれる。被害にあったのは、30歳前後の男性だ。

 当事者は、中途採用で入社し、3年目だった。上司である40代後半の副部長や、その言いなりになる40歳ほどの男性プロデューサー数名によるいじめが執拗に行なわれていたという。できない仕事を大量に与えられる。しかも、その多くはしなくともいいような仕事である。少々のミスであろうと罵声を浴びせられる。そのような日々が2年も続いたある日、母親から電話が入った。

「うちの息子をなぜいじめるのですか?何がいけないのですか?そのあたりを説明してほしい」

 ところが、上司は要領を得ない対応をしていたという。その部署にいる女性の契約社員が証言をし、その後、男性社員は弁護士を通てじ、内容証明郵便を社長宛に送ったという。結局、いじめは止むことなく、男性社員は退職した。

 今回、紹介したのは、私がこの10年間の取材で知った事例のごく一部である。親の側に常識を超えた行動があり、理解に苦しむものも少なくない。しかし、会社の側にも責められるべきことがある。この親たちを「クレーマー」として片づけるだけで、問題は解決するだろうか。そもそも親が介入する以前に、上司は管理職である以上、問題を解決する責任がある。そのあたりは、会社全体で考えられてしかるべきだ。

文/吉田典史

ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。

■連載/あるあるビジネス処方箋

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