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【開発秘話】年間100万ケース売れている宝酒造の発泡性清酒『澪』

2016.05.18

■連載/ヒット商品開発秘話

 清酒の中で、「発泡性清酒」「スパークリング清酒」などと呼ばれるものが地位を確立している。これまであまり清酒になじみがなかった人や、苦手だった人たちに支持されているが、現在の人気をつくった銘柄の一つといってもいいのが、宝酒造の『松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒』(以下、澪)である。

 2011年6月に発売された『澪』は、ほどよい酸味とほんのり甘い味わい、そして爽やかな泡立ちが楽しめるのが特徴。まず300mlに始まり、2012年9月に750ml、2013年3月に150mlを発売。さらに2015年8月には、スッキリした味わいが特徴の『松竹梅白壁蔵「澪」<DRY>スパークリング清酒』(以下、澪<DRY>)を発売する。2012年度は15万ケース(1ケース:300ml×12本)であった売上も、2015年度は『澪<DRY>』 の発売などもあり、100万ケース(同)と順調に伸ばしている。

松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒 松竹梅白壁蔵「澪」<DRY>スパークリング清酒

■若者が求める酒の条件は、〈飲みやすい〉〈甘い〉〈低アルコール〉

「発泡性清酒」「スパークリング清酒」などと呼ばれるものは、最近できたものではなく、実は昔からあるものだという。ただ、以前のものは飲み口がドライなものが多く、アルコール度数も十数度と高めで、必ずしも人気があったわけではなかった。同社の奈良有里代さん(環境広報部 課長補佐)は、「普通に売られている清酒に炭酸を加えたようなものが多かったです」と振り返る。

宝酒造 環境広報部 課長補佐 奈良有里代さん
宝酒造
環境広報部
課長補佐
奈良有里代さん

 では、なぜ『澪』を開発することにしたのか。その理由を、奈良さん次のように話す。

「開発が始まった2005年当時は、若者の清酒離れが進んでいました。各社が頑張ったことで下がっていた市場規模が何とか下げ止まってきたものの、若者が増えたわけではありません。そこで、若者に清酒の魅力を伝える新しい存在を開発することにしたのですが、このとき注目したのが発泡性清酒です」

 発泡性清酒に注目したのは、比較的飲まれていたものは低アルコールで甘く、20〜30代の男女が中心になりチューハイ感覚で楽しんでいる傾向が見られたため。実際、調査をすると、20代や30代の男女が求めているお酒は、〈飲みやすい〉〈甘い〉〈低アルコール〉を満たしているものだった。「そこで、ニーズに合う、低アルコールで飲みやすい、そしてほんのり甘い発泡性清酒を目指すことにしました」と奈良さんは言う。

 こうしたことから、『澪』の開発がスタート。完成までに実に6年の時間を要することになった。

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