■連載/あるあるビジネス処方箋
「キミのことを・・・と言っている人がいるよ」。
先輩や同僚などから、こう言われたことはないだろうか。「・・・」のところには、例えば「生意気」「横柄」などといった、批判的な内容の言葉が入るケースが多い。最近、私は「あなたが書いた記事を・・・と指摘する声が社内で上がっている」と、ある編集者から言われた。「・・・」の部分がその編集者の作り話であることは、彼が話すニュアンスからなんとなくわかった。私は、38歳まで会社員をしていたが、じつは同僚などから何度もこの言葉を言われたことがある。その時の経験で、それが嘘であるか否かを見抜くコツをつかんだ。今回は、「あなたのことを・・・と言っている人がいる」と言う人の心理について考えてみたい。
■不平、不満、妬み、嫉妬心
他人に「あなたのことを・・・と言っている人がいる」と忠告する人は、あなたに対して否定的な感情を持っている可能性が高い。ライバル意識を持っていたり、嫉妬心を持っているのだ。否定的な感情を持っているからこそ、「・・・と言っている人がいる」とあえて誰が言っているかを特定しない。本来なら、例えば「部長があなたのことを『最近、問題が多い』と言っていた」と言うべきだろう。ところが、名前を伏せてしまうのは、あなたを動揺させようとしているからである。何らかの悪意があるのだろう。
■情報源は明らかにしない
もし、本当に部長があなたのことを「問題が多い」と思っているのなら、直接、本人に「最近、問題が多いようだが、どうなんだ」と指摘するはずだ。それを、他の人がわざわざ、あなたに言うと、嘘や作り話であるということがわかってしまう。つまり、「部長がそのようなことを言っている」と情報源を明らかにしてしまうと、あなたが部長のところへ行き、確認するかもしれない。それでは、簡単に嘘だとわかってしまう。だからこそ、「あなたのことを・・・と言っている人がいる」と情報源を曖昧にするのだろう。
■動揺せずに切り返す
そして、「あなたのことを・・・と言っている人がいる」と言う人は、あなたの反応を見ている。もし、動揺したりうろたえたりすると、再び繰り返すだろう。あなたに嫉妬したり、妬んだりしているから、簡単にはやめない。
この場合の対応策は、まず、動揺しないことだ。とりあえず、「そうか…」と答えておこう。それでもなお、「あなたのことを・・・と言っている人がいる」と畳みかけてくる場合は「・・・と言っている人は誰なの? 私が直接話を聞くから教えてよ」と聞き返そう。だが、そもそも嘘である可能性が高いから、そう返されると、きっとうろたえるはず。少なくとも明確に答えることはできないはずだ。
「・・・と言っている人は誰? 直接話したいから教えてよ」と大きな声で言ってみよう。それをみんながいる前で言うと、一段と効果的だ。相手は、あなたが生真面目で、おとなしいことを知っているから、挑発してくるのだ。どこかで歯止めをかけないと、他の人を巻き込んでいじめに発展する可能性がある。そうなる前に、先手を打つことも大切だ。