■料理や素材によって使い分けることを提案
2010年に『いつでも新鮮』シリーズを発表したとき、同社では「将来的には売り上げ30億円を狙いたい」と公表していた。結果的に、この目標はすぐ達成されることになったが、どうやって知らしめ、買ってもらえる工夫をしたのだろうか? 目につくところではテレビCMの放映があるが、井上さんによれば、カギを握っていたのは、ボトルの発売だった。「パウチを出したとき、いつボトルにできるかどうかまでは明確ではありませんでしたが、次の一手はボトルだということで、開発を急ぎました」と言う。
とはいえ、ボトルタイプを発売しただけで売れるというものでもない。いかに鮮度を保ち、搾り立ての状態を維持できる仕組みになっているのかを理解してもらわなければ、他のしょうゆとの違いが鮮明にならず、注目されないからだ。そこで同社は、まずボトルの仕組みや優位性を店頭販促物で訴求することにした。二重構造を見せる3D POPをはじめ、パネルやボード、ミニボトルを製作。テレビCMや雑誌のタイアップ広告でも、ボトルの仕組みや優位性、中身の美味しさを伝えることに注力した。
そしてこの2年ほどは、料理や素材によってしょうゆを使い分ける、使い分け販促にシフトした。例えば刺身の場合、淡白な白身魚やイカ、タコなどは〈うすくち生しょうゆ〉、マグロの赤身やカツオなどの定番は〈しぼりたて生しょうゆ〉、中トロやブリなど濃厚なものは〈味わい贅沢生しょうゆ〉、といった具合だ。
また、使い分けという観点から生かしているのが、クックパッドである。同社はクックパッドに、生しょうゆを使ったメニューの紹介ページを持っており、紹介しているメニューが掲載されている期間、店頭でも紹介するキャンペーンを実施。これまで紹介したメニューの中には、「白菜と豚肉のとろみ炒め」などのように、クックパッドに投稿された「つくれぽ」の数が1000を超え、殿堂入りしたものもある。