参考:パーソナリティタイプによって魅力を感じる人事施策は変動する
■従業員の声に耳を傾けながら、自社の施策を充実させていくことが重要
パーソナリティタイプごとに魅力を感じる人事施策が異なるのかについて、探索的にみた。パーソナリティタイプは、当社のアセスメントにおける分類を用いており、図表9の4タイプ(象限)を指す。
その上で人事施策の魅力(図表1)のパーソナリティタイプごとの回答結果を図表10で記している。各象限は、上(チャレンジ)⇔下(コツコツ)、左(ウェット)⇔右(ロジカル)により分類されている。
図表9:4つのパーソナリティタイプ
魅力的な人事施策(図表1)のうちパーソナリティタイプごとの回答結果を図表10に示した。その中でこの4タイプのうち、Y(調和重視)タイプ・Z(秩序重視)タイプは、「確実さを重視し、ステップを踏んで成長したい」と考える人たちだが、彼らは人事施策全般に魅力を感じる傾向がある。
特に、個人選択型研修、ITスキル取得支援、その他資格取得支援、書籍購入支援などに魅力を感じており、ステップを踏んで成長していきたいという特徴が反映されていることがわかる。
一方のW(創造重視)タイプは、「新たなことにチャレンジしていきたい」と考える人たちだが、彼らは海外留学支援(MBA・語学留学)を魅力的に感じる傾向が強く出ていた。
図表10:「あなたは、以下の人材開発施策の中で、どれが魅力的だと思いますか。魅力的だと思うものをすべて選んでください。」のパーソナリティタイプごとの回答結果
今回の調査では、パーソナリティタイプや年代などによって、魅力的に映る人事施策が異なる、という結果が示されている。また個人属性によっても魅力となる人事施策が異なっている可能性もあるため、所属する従業員の声に耳を傾けながら、自社の施策を充実させていくことが重要だと考えられる。
調査担当研究員のコメント
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
コーポレート統括部 研究本部
測定技術研究所 所長 仁田光彦 氏
今回の調査では、会社において働く人の能力開発を支援する、人材開発施策にスポットを当てています。現代のビジネス環境は、変化が激しく、獲得したスキルの陳腐化も早く、働く人には、新たなスキルの獲得や、継続的に学ぶ姿勢が求められるようになっています。一方で、変化の激しい環境下だからこそ、働く人だけの力で自律的にキャリアを切り拓いていくこともまた、難しくなってきていると思います。会社は働く人をどのように支援していくとよいのでしょうか。
調査でわかったことを簡単に整理します。
(1)働く人にとっての魅力的な人材開発施策や会社における実施実態
・個人で主体的に選択できる研修やIT・語学等の汎用的なスキル獲得を支援する制度が人気で、若手においては特に顕著な傾向。
・一方で、会社の人材開発施策としてはあまり実施されていない現状がある。
(2)人材開発施策の実施が働く人や会社に与える影響
・人材開発施策の実施数が多いほど、働く人は会社から支援されていると感じる
・会社から支援されていると感じているほど、会社へのエンゲージメントが高まる
(3)年代やパーソナリティといった属性による魅力を感じやすい施策の違い
・属性の違いにより、魅力的に感じる人事施策にも違いがある
今回の調査を通じて、会社における人材開発施策は、働く人の能力開発を促進すると同時に、会社へのエンゲージメントや満足度を高めうる組織開発的な側面をもつ施策であることを再認識しました。働く個人と会社が持続的に成長をしていく上で、今後益々重要性が高まりそうです。
会社は、働く個人の声に耳を傾けながら、改めて自社の人材開発施策に目を向けてみてもよいのかもしれません。個人と会社、双方がよりよい関係性を築いていくうえで、本調査が何かしらの示唆を与えられていれば幸いです。
<調査概要>
関連情報
https://www.recruit-ms.co.jp
構成/清水眞希