タイムマネジメントの重要性は、ビジネスの世界で常に強調されますが、その実践方法には多くの誤解があります。そのひとつとして挙げられるのが、時短すること自体を目的化してしまうことです。
例えば、仕事の効率化を目指すあまり、時間を短縮することだけに焦点を当ててしまいがちです。しかし、時間を短縮できても、パフォーマンスの向上につながらなければ意味がありません。時間の節約は目的達成の手段であり、それ自体が目的ではないのです。
ついついやってしまう〝悪い時短〟とは!?
私もしばしば短期的な効率化に注目してしまいます。しかし、これが長期的な視点から見ると、逆効果になることがあります。〝悪い時短〟の典型例は、短期的な時間削減が長期的な生産性や成果の低下を引き起こすケースです。
過度な仕事の効率化も〝悪い時短〟の一例です。例えば、企業がコスト削減のために従業員の数を減らし、残った従業員に過度な負担をかけたとしましょう。短期的には人件費の節約になるかもしれませんが、長期的には従業員の燃え尽き症候群や高い離職率を引き起こし、結果的には企業のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことになります。
このように〝悪い時短〟による過度な効率化は、従業員の健康やモチベーションを低下させ、組織全体の生産性を損なう結果を招くことがあります。
また、短期的な業務の簡略化やショートカット化も、効果的とは言えません。例えば、あるプロジェクトの準備段階で、適切な市場調査やリスク分析を省略することは、時間を節約できたとしても、それによって未発見の問題や機会を見逃すことになり、最終的な成果に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、長期的な失敗や時間の浪費を招く原因となり得るのです。
さらに、プライベートにおいても同様に〝悪い時短〟の例が見受けられます。例えば、家族や友人とのコミュニケーションを時短することで、仕事にもっと時間を割くことができるかもしれません。しかし、このような選択は、人間関係の希薄化を引き起こし、孤独感を高めてしまう結果、心の健康を損なうことになります。人間関係は時間をかけて育むもの。短期的な時間の節約が長期的な幸福感の低下を招く可能性があります。
これらの例からわかるように、時短するうえで目的と手段を適切に理解し、短期的な効率だけでなく長期的な目標や成果を考慮することが重要なのです。〝悪い時短〟は、結果的に時間、労力、あるいは人間関係の損失をもたらす可能性があります。したがって、時短を考える際には、その影響を総合的に評価し、長期的な視点を持ってアプローチしましょう。