パーパスの見極めポイントは「一貫性」
転職先候補となる企業でパーパスが掲げられていた場合に、どのようなポイントで判断すれば良いか。齊藤氏は次の点を挙げる。
「パーパスが機能しているかを見定めましょう。経営者の挨拶メッセージや採用担当者の言葉などが、その企業のパーパスに沿った内容であるかどうか、そして商品やサービスなど実際に行っているアクションとの矛盾がないかどうかを確かめ、嘘がないかを見極めてください。
中途採用を多く取っている中小企業やベンチャーなど、多様性に富んだ組織ほど、パーパスのような軸が機能していないと、個性、方向性、価値観などすべてにおいて、社内外活動がバラバラになりがちです。
大企業では、パーパスに基づいたCSR活動や、パーパス起点の人事評価を行っているかどうかなどを確認しておくことが、実際に仕事にやりがいを感じられる職場であるかどうかを見極めるポイントになるでしょう」
パーパスに注力している企業事例
実際にパーパスに注力して取り組む企業は多くある。齊藤氏に2つの事例を挙げてもらった。
●ASNOVAの事例
「建設現場などで利用される足場レンタルを行う株式会社ASNOVAでは、今後アジアに大きく展開していくにあたり、パーパスの必要性を一刻でも早く感じ、上場のタイミングに合わせてパーパスを策定されました。社長いわく、パーパス策定前は『経営理念やビジョンを策定して浸透を試みてもなかなか上手くいかなかった。中途採用が主であるため、それぞれが持つ価値観・判断基準の中で進め、方向性がバラバラで組織としてのまとまりもないままだった』と振り返ります。現在はパーパスが明確になったことで一貫性のある経営を実現されています」
●ハリウッドの事例
「化粧品メーカーのハリウッド株式会社は、1925年の創業当時から、化粧品や食品に自然素材を使用する上での責任として社会、環境など全方位でのサステナビリティへの意識を、経営方針のコアに据えて独自商品を生んできました。
自らも学生時代に海洋環境保全を学んだという現社長の牛山大輔氏も、製品企画においてサステナビリティを意識するよう、ブレない旗振りをしています。
パラオやハワイなど世界で規制が始まっている、サンゴへ悪影響を与える可能性のある成分不使用の日焼け止めや、震災復興につながる気仙沼の椿油を使ったハンドクリーム、京都の老舗蔵元である佐々木酒造とのコラボレーションで廃棄されてしまう酒粕を有効活用したソイプロテインを発表するなど、本質的にサステナビリティを追求した製品企画に反映されています」
パーパスを重視して転職活動を行うポイント
企業と自分のパーパスのマッチングは転職活動の成功につながる。活動を行うに当たってのポイントを齊藤氏は次のようにアドバイスする。
「報酬はもちろん大事ですが、まずは生きがいややりがいといったものを重視して転職先を選ぶことで、ベストパフォーマンスが発揮されると考えます。そして次第に報酬も上がっていくという良いスパイラルに入っていくでしょう。そのようなイメージを描いて転職活動をするのをおすすめします。
そしてやみくもに多くの企業から自分を選んでもらうのでなく、パーパス視点で自分がベストを発揮できる企業、つまりパーパスが合致する企業を探して絞り、自ら企業を選ぶという姿勢で臨むべきと考えます」
前述の通り、パーパスを見る際には経営層の言葉から広報物、ウェブサイト、SNS発信まですべての戦略にパーパスとの矛盾はないか、嘘がないかどうかを照らし合わせることが重要。「疑問があったら直接、面接で質問してみても」と齊藤氏は勧める。
「面接の際には、積極的に自らのパーパスやそれに伴う実績をアピールし、転職後にその自身のパーパスを実現するためにその企業に対してどのように関わっていけるのかを話せると良いでしょう」
パーパスで働く企業を選ぶということは、自らの働き方やキャリアの方向性を明確にするということ。企業と自分のパーパスのマッチングを目指す視点で転職を考えてみるのも良いのではないだろうか。
【取材協力】
齊藤 三希子氏
エスエムオー株式会社 代表取締役/株式会社バルカー社外取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、株式会社電通に入社後、電通総研への出向を経て、2005年に独立し、現在のエスエムオー株式会社設立。「本物を未来に伝えていく」をパーパスとして掲げ、ものの本質的な価値を見据えたパーパス・ブランディングを日本でいち早く取り入れる。著書に『PURPOSE BRANDING〜「何をやるか?」ではなく「なぜやるか?」から考える』がある。
【調査出典】
ウォンテッドリー、パーパスとエンゲージメントに関する調査結果を発表
文/石原亜香利
糸井重里氏、厚切りジェイソン氏、益 一哉東京工業大学学長が登壇「DIMEビジネストレンドサミット2024」タイムテーブル発表!
急速に変容する世界で生き残るために、企業も個人もイノベーションが欠かせない時代。小学館のビジネストレンドマガジン『DIME』とWebメディア『@DIME』は、一貫してモノ・ヒト・コトに関するトレンドを深掘り、ヒット商品やトレンドの背景に何があるのかを取材してきました。
その知見を第一線で活躍する知識人やビジネスリーダーとともに、ビジネスパーソンの皆さんへ還元すべく2024年1月24日(水)、ビジネスカンファレンス「DIME Business Trend Summit」を東京・日本橋兜町の「KABUTO ONE」で開催します。異なるテーマの6つのセッションで、2024年のビジネストレンドを多彩なゲストと共に読み解きます。ぜひ、ご自身をアップデートする機会としてご参加ください。
本サミットは、リアル及びオンラインどちらでも1セッションから参加が可能です。タイムスケジュールから気になるセッションをチェックして、ぜひご応募ください。申し込み締め切りは2024年1月22日(月) 23時59分まで。
「DIME Business Trend Summit」お申し込み方法
ステップ1 小学館IDに登録・ログイン
下記リンクより小学館IDに登録をしてください。すでに登録済の方はログインをお願いします。
※小学館IDはDIME、@DIMEの発行元である小学館のIDサービスになります。
★クリックできない時はブラウザのキャッシュをクリアしてみてください。キャッシュクリアの方法はコチラ。
ステップ2 リアル参加もしくはオンライン参加を選ぶ
参加方法は2種類ございます。
リアル参加:KABUTO ONE(東京メトロ東西線「茅場町」駅直結)、もしくはオンライン参加:Zoomでの配信のどちらかを選んで各フォームよりお申し込みください。
なお、本サミットの参加にはDIME BUSINESS IDへの登録が必須となります。各お申し込みフォームをクリックすると、まずDIME BUSINESS IDの登録画面が表示されます。登録後、お申し込み内容の記入へとお進みください。
※DIME BUSINESS IDはDIME、@DIMEに特化し、有益な情報をお届けするサービスです。登録にちょっとお手間をかけてしまい、申し訳ありません!
▼オンライン参加の方はこちら
オンライン参加の方は、DIME BUSINESS IDへの登録後、視聴用のURLが登録されたメールアドレスに送られます。
▼リアル参加の方はこちら
※リアル会場での参加をご希望の場合、各セッションとも応募者が上限に達した場合は抽選となります。その場合、もし抽選に漏れてしまった方はオンラインでの視聴をお願いします。
時代を先取る豪華ゲストによるスペシャルセッション
スペシャルセッションでは、株式会社ほぼ日代表取締役社長の糸井重里氏とコクヨ株式会社代表取締役社長の黒田英邦氏による対談や、厚切りジェイソン氏、東京工業大学学長の益 一哉氏による講演を開催。「DIME Business Trend Summit」ならではの切り口でお話ししていただきます。
スペシャルセッション「日本の停滞を打ち破る企業と大学の“新しい関係”」(12:20-13:20)
2024年度中を目途に進められている、東京工業大学と東京医科歯科大学の統合。大学改革をリードする東京工業大学学長の益 一哉氏が、日本の停滞を打破するために大学は何ができるか、企業はどう大学を使うべきか、イノベーションを生むための企業と大学の新しい関係について講演を行ないます。
<登壇者>
東京工業大学 学長。2018年より現職。専門分野は電子デバイス、集積回路工学、ワイヤレスセンサネットワーク。
スペシャルセッション「稼ぐ力をつける戦略的キャリアの築き方」(15:00-16:00)
70万部を超えるベストセラー『ジェイソン流お金の増やし方』でも知られる厚切りジェイソン氏が、自身の経験に基づくお金を稼ぐ力をつけるヒント、〝稼ぐ力〟を高めるためのキャリア形成について語ります。
<登壇者>
お笑い芸人とIT企業役員の二刀流。1986年生まれ、アメリカ出身。17歳の時、飛び級でミシガン州立大学へ入学、卒業後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の大学院に進む。2014年10月、芸人デビュー。2015年と翌年に『R-1ぐらんぷり』決勝に進出。新著に『ジェイソン流お金の稼ぎ方』。
スペシャルセッション「社員と企業の新しい絆の作り方」(17:30-18:30)
糸井重里氏と黒田英邦氏によるスペシャル対談。〝モノづくり〟という共通点を持つ会社で代表取締役社長を務める両者が、令和の時代に合った社員と企業のリレーションとは何かを考えます。
<登壇者>
1971年、コピーライターとしてデビュー。98年、ウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』を開設。代表取締役社長を務める株式会社ほぼ日では、人々が集う「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを企画、編集、制作、販売を行なう。
2001年、文具・家具メーカーのコクヨへ入社。その後、コクヨファニチャー社長、コクヨ専務などを経て2015年より現職を務める。
今、注目のビジネスパーソンたちによるビジネスセッション
新時代のリーダーの在り方、ビジネスにおけるイノベーションの生み方、AIを仕事にどう実装していくかをテーマに、各分野で活躍するビジネスパーソンによるパネルディスカッション形式のビジネスセッションを行ないます。
ビジネスセッション「社員が生き生きと働く会社の条件と次世代のリーダーシップ」(11:00-12:00)
パーパス経営、ウェルビーイング、ダイバーシティー、インクルージョンなど企業と従業員の新しい関係が模索されている中、伸びている会社・これから伸びる会社の条件、現場のリーダーたちに求められるスキルなどを議論します。
<登壇者>
専業主婦から、39歳の時にアパレルショップへ初めての就職。2017年にドムドムフードサービスに入社し、9か月後に代表取締役社長に就任。日本で最初のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」を大復活させた敏腕社長として知られる。
日本興業銀行、プラスを経て、2015年よりヤフー。現在、LINEヤフーアカデミア学長として次世代リーダー育成を担う。2021年、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部開設、学部長就任。
世界各地に分散したメンバーが週休3日・リモートワーク・複業(専業禁止)をしながら800社以上の働き方改革を支援する、クロスリバーの代表取締役。DIMEにて「ショートカット仕事術 個人で始める働き方改革!」を連載中。
ビジネスセッション「企業の現場からイノベーションを生むには?」(13:40-14:40)
新しい価値や事業の創出が不可欠な今、現場からのイノベーションを生むにはどうすればいいのか、新しいアイデアを形にするためにリーダーに必要なマインドなどをそれぞれの視点からひも解きます。
<登壇者>
三菱総合研究所を経て、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院より博士号(Ph.D.)を取得。現在、早稲田大学ビジネススクール教授を務め、国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。
東京大学卒。JTで研究開発員として病態モデル開発、研究職採用業務等を担当した後、子会社のBREATHER株式会社の設立に参画。JTによる、新たな研究や事業により「心の豊かさ」を届けるためのコーポレートR&D組織・JT D-LABにも携わる。
有安伸宏氏(エンジェル投資家)
慶應義塾大学卒。ユニリーバ・ジャパンを経て、2007年にコーチ・ユナイテッドを創業。 2013年に同社の全株式をクックパッドへ売却する。2015年にTokyo Founders Fundを共同設立し、米国シリコンバレーのスタートアップへの出資、エンジェル投資なども行なう。
慶應義塾大学卒。株式会社電通の戦略プランナーとして、様々なクライアントのマーケティング戦略やプロモーション企画を立案。電通のクリエイティブ横串組織「Future Creative Center」にてセンター長を務める。
ビジネスセッション「ビジネスの現場でどうAIを活用すべきか? AIで変わる新しい働き方」(16:20-17:20)
AIがビジネスの現場に実装されていく2024年、現場ではどんな変化があり、何に備えるべきなのか。それによってマネージャーの役割はどう変わるのか? 時代を先読みするヒントを探ります。
<登壇者>
東京大学大学院 情報学環・学際情報学府修士課程修了。上海・台北・東京を拠点に活動。国内外のUX思想を探究すると同時に、実践者として企業の経営者や政府へのアドバイザリーに取り組む。累計22万部のベストセラーである『アフターデジタル』シリーズでは、これからの時代を生き抜くために、日本企業が取るべきアクションや、DXのあるべき姿を提示。「DXの目的は新たなUXの提供である」というコンセプトを世に広める。
大学卒業後、米国のエージェンシー勤務を経て、デジタルエージェンシーのスタートアップを起業。その後、米国のメガ・エージェンシー・グループの日本代表を務め、4社のCEOを歴任。経営、マーケティング、エマージングテクノロジーを専門とする。著書に『ジェネレーティブAIの衝撃』。
バンド「SKA SKA CLUB」で活動後、2023年にソロアーティスト「GROVER」として本格的に音楽活動を再開。ラジオやテレビなど各種メディア等でも活躍し、ラジオパーソナリティの他、企業やイベントのナレーション、MCを担当する。
※スペシャルセッション、ビジネスセッションの内容は変更になる可能性がございます、ご了承ください。
参加者1000名様にAmazonギフト券をプレゼント!
以下の条件を満たし、オンラインでご参加いただいた方の中から700名様に抽選でアマゾンギフト500円分を、会場でリアル参加された方先着300名様にはAmazonギフト券1000円分をプレゼントいたします。
応募条件:
DIME BUSINESS IDに企業ドメインのメールアドレス(@gmail.com、@yahoo.co.jp、icloud.comなどフリーアドレス不可)でご登録いただき、当日サミットに参加された方
「DIME Business Trend Summit」詳細
<日時>
2024年1月24日(水)10:30~18:30(予定)
<会場>
KABUTO ONE(東京都中央区日本橋兜町7番1号)
東京メトロ東西線「茅場町」駅直結
JR線、東京メトロ丸の内線「東京」駅 八重洲北口 徒歩12分
東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線「日本橋」駅 D2出口 徒歩2分
成田空港から京成スカイライナー・東京メトロ銀座線「日本橋」駅利用 41分
羽田空港から東京モノレール・都営浅草線「日本橋」駅利用 20分
<参加費>
無料
<応募締め切り>
2024年1月22日(月)23時59分