退職金を勝ち取ったケース
社員が退職金を勝ち取ったケースを3つご紹介します。会社が退職金を払わなかったので社員がブチギレて提訴したケースです。
1. 同業他社への転職
会社
「チミ、同業他社に転職したよね」
「だから、退職金3000万円は払わないから!」
裁判所
「いや、全額はらえ」
2. 従業員の引き抜き
会社
「従業員を40人も引き抜いて、新会社を設立しやがって!」
「首謀者の7人、懲戒解雇だ」
「退職金は支払わない!」
裁判所
「いや、全額はらえ」
3. 謀反を起こして新会社を設立
上の事件と構造は似ており、9名が謀反を起こして新会社を設立した事件です。この事件、不義理レベルで結論が異なりました。
裁判所
「3人には退職金を払いなさい」
「でも、6人には払わなくてOK」
6人について、裁判所は「チョー不義理だ(それまでの勤続の功を抹消してしまうほど著しく信義に反する行為といえる)」と判断しました。
退職金がゼロになったケース
お次は、退職金がゼロになったケースを2つご紹介します。
1. 女子トイレを盗撮
退職金1800万円が吹き飛びました。警察官が署内の女子トイレを盗撮しちゃったんです、裁判所は「退職金ゼロでOK」と判断しました。懲役2年(執行猶予4年)の判決を受けてますからね。
2. 飲酒運転
退職金1700万円が吹き飛びました。裁判所は飲酒運転にもカナリ厳しいです。物損を起こしただけで幸い人にケガは負わせてなかったのですが、裁判所は「退職金ゼロでOK」と判断。
さいごに
以上、見てきたとおり、懲戒解雇=退職金をもらえない……ではありません。
懲戒解雇されたとしても、裁判所は「退職金をゼロまたはカットするだけの不義理な事情はあるのだろうか?」と詳しく検討します。正しくは以下の事情が詳しく検討されます。
労働者の勤続の功を抹消ないし減殺してしまうほどの著しく正義に反する行為があったかどうか
▼退職金のことで揉めたら相談するところ
退職金がゼロになったり、カットされたりした方がいれば労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。
労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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