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「自分で考える。だから楽しい」慶應義塾高校野球部・森林監督が考える強いチームの作り方

2024.01.06

今夏、全国高校野球で慶應高校野球部が約1世紀ぶりの優勝を飾った。坊主頭や古い上下関係からの脱却が注目を集めるが、その根底には選手ひとりひとりの主体性を引き出す指導哲学がある。

森林貴彦慶應義塾幼稚舎教諭。慶應義塾高校野球部監督。慶應義塾大学卒。大学時代は母校慶應義塾高校野球部で学生コーチを務める。NTT勤務を経て、筑波大学大学院でコーチングを学ぶ。慶應義塾幼稚舎教諭をしながら慶応高校コーチ・助監督を歴任し、2015年監督就任。2018年春・夏、2023年春・夏の全国大会出場。2023年夏に107年ぶりの全国優勝を果たす。

「エンジョイベースボール」そして「シンキングベースボール」

 高校野球に新たな風を吹き込むかのように、今夏の全国高等学校野球選手権大会を制したのは慶應義塾高校だった。同校野球部に根づく「エンジョイベースボール」。直訳すれば、〝たのしい野球〟ということになるのだろうが、その本質と真意がうまく伝わりづらいと話すのは、2015年から慶應義塾高校野球部を率いる森林貴彦監督だ。

「エンジョイベースボールを単純に『楽しい野球』と訳されると、大きな誤解を招くことがあります。『楽』という漢字が入ると、どうしても『楽をしている』ととらえられてしまうものです。ですから、『愉しい』という表現のほうが適している……。僕なりの解釈で言えば、エンジョイベースボールはチャンピオンを目指しながら『よりレベルの高い野球を愉しむ』こと。この夏、甲子園の決勝で仙台育英と対戦して、あの瞬間を味わったことが、最高のエンジョイなわけです」

考える楽しさを知った高2の夏、恩師との出会い

《決勝戦の心境はいかがでしたか?》

 そう聞かれることがよくあるそうだが、森林監督にはふたつの思いが混在していたという。

「勝って優勝したいと思う一方で、このままずっと試合をやっていたいとも思っていました。大勢のお客さんがいる中で、戦っていて気持ちのいいチームと優勝を争う……。決勝戦には、勝敗を別にした〝たのしさ〟があって不思議な感情でした」

「エンジョイベースボール」ともうひとつ、慶應義塾高校野球部を象徴するのが「シンキングベースボール」だ。練習や試合でも、選手たちが主体的に「考える」ことを森林監督は求める。指導者は、選手たちの日頃の様子をよく見て、その声をよく聞く。「観察」する中で、選手たちの「考える力」は養われていく。森林監督が考えることの大切さを実感したきっかけは、自らの慶應高校時代の経験だったという。

「僕が高校2年生の時に上田誠さんが監督になられました。新チームが動き始めた7月末。上田さんは『君たちで二塁牽制のサインを決めなよ』と言ってくれたんです。夏休みの夕方、ヒグラシが鳴いているような時間に、投手、捕手、内野で2時間以上も意見を戦わせながら、選手たちだけで二塁牽制の動きやサインを決めました。それがすごく新鮮でしたね。そして、直後の練習試合でそれがうまくいったんです。自分たちで決めて考えてやることって楽しいな、と。それが原点に近い。今の選手たちにもそういう経験をしてほしいと思うんです」

 慶應高校のグラウンドには、「考えて動く」姿が広がる。練習前のウオーミングアップでは一律的な動きはなく、おのおのが体の状態を見極め、自らの課題と向き合いながら準備を行なう。上手投げ、横手投げと、多様な動きを見せるボール回しにも、「考える」という素地がうかがえる。限られた練習時間の合間に、学生コーチも加わる選手間ミーティングが行なわれる。そんなひとつひとつの動きに、選手の主体性を感じるのだ。

森林貴彦監督選手を「見る」「観察する」ことは、時に話す以上に重要だという。

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