「EverNow」のイベントと夜景
このキングスパークで特にオススメしたいのが、これから数年は毎年9月に行われるという「EverNow」というイベントだ。このイベントはパースに住む先住民アボリジナル(かつての「アボリジニ」という呼称は差別的とのことで使われなくなっている)の「ヌガー族」による春の訪れを祝う祭りを、光や炎を使って現代的に、かつ大胆にアレンジしたものだ。
初開催となった今年の「EverNow」では3つのメインイベントが行われた。その一つがこのキングスパークで開催される「Boorna Waanginy:The Trees Speak」(木々のささやき)だ。
約1.4キロの周遊コースで、光と音楽とナレーションを使った様々なインスタレーション(作品を「見せる」だけでなく、場所や空間を総合的に「体験させる」美術作品の展示方法)が楽しめる。表現されるのはアボリジナルたちの何万年にもわたる土地の物語や西オーストラリア州の豊かな自然だ。
並木道の木々と梢を利用したインスタレーション。壁面などの平面ではない場所でのプロジェクションマッピングだが、それが逆に動物たちが忍びだす様子などをリアルに再現していた。
「EverNow」の他の2つのメインイベントは市の中心部で開催される。その1つが州の最高裁判所前広場で行われる「Song Circle」(歌の輪)。音楽に合わせて様々な色の光を当てることでアボリジナルのダンスをより現代的なパフォーマンスにしたものだ。
先住民の文化や芸能を人々に見せる方法として、「伝統を重んじてできるだけそのままの形で」というやり方ももちろんある。
だが「より現代的にアレンジすることで、先住民の文化や芸能に興味がない人たちも魅了する」という考え方もあってもいい。パフォーマンスを見ながら自然に涙が流れていた筆者は、そんなふうに感じた。
「Song Circle」はアボリジナルのダンスの「見せ方進化系」だ。
「EverNow」のもう一つのメインイベントは最高裁判所前広場と並ぶ総督邸前広場で行われる「Fire Gardens」(炎の庭)。その名の通り広場につくられた様々な炎のアートを楽しむものだ。
パースがより特別なパースになるこの時期をみなさんもぜひ楽しんでほしい。