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厚生労働省によって施行された〝パワハラ防止法〟で追加された企業や労働者が実践すべき対策とは?

2023.10.05

2020年6月1日に施行された労働施策総合推進法の改正(パワハラ防止対策義務化)。いわゆる〝パワハラ防止法〟が定められました。

職場におけるパワーハラスメント対策が2020年6月1日から大企業で義務化、2022年4月1日から中小企業においても義務化されています。

追加された内容からわかる、企業側と労働者側が行うべきパワハラ対策についてご説明します。

まずは「パワーハラスメント」の定義を法律内容から確認

厚生労働省のハラスメント対策総合サイト「あかるい職場応援団」では、パワハラに関して次のように定義しています。

職場において
[①]優越的な関係を背景とした言動
[②]業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
[③]労働者の就業環境が害される

これら①~③を全て満たしたものを「ハラスメント」と定義しています。

【参考】「パワハラ」の定義、きちんと説明できますか?

〝パワハラ防止法〟にはどのような内容が追加された?

労働施策総合推進法の第9章「職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等」で、主に以下の条項が新設されました。

第三十条の二(雇用管理上の措置等 抜粋)

1 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

第三十条の三(国、事業主及び労働者の責務 抜粋)

2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。

3 事業主(その者が法人である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。

4 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。

上記の内容が追加されたことで、事業主は〝雇用管理上必要な措置を講じること〟が義務となりました。また、パワハラに関する紛争が起きた場合は〝調停などの個別紛争解決援助の申出〟が行えることになり、さらに、パワハラを相談したことを理由とする、事業主の〝不利益な扱い〟は禁止されています。

厚生労働省の「職場におけるハラスメント関係指針」からわかる企業側と労働者側がすべきことは?

「パワハラ防止法」が施行されたことで、その詳細として「職場におけるハラスメント関係指針」が出されています。この中に記載されている条文から、企業側と労働者側がすべきパワハラ対策をご説明します。

【参考】職場におけるハラスメント関係指針

事業主の果たすべきパワハラ対策

「職場におけるハラスメント関係指針」内で以下が記載されています。

事業主の責務

労働施策総合推進法第三十条の三第2項の規定により、事業主は、職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるパワーハラスメントに起因する問題(以下「パワーハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。(2)において同じ。)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努めなければならない。(以下、略)

企業側は、パワハラについて労働者側へ理解を深めてもらうために、研修やセミナー、啓蒙活動を行うよう努めることが求められています。

労働者の果たすべきパワハラ対策

「職場におけるハラスメント関係指針」内で以下の記載がされています。

労働者の責務

労働施策総合推進法第三十条の三第4項の規定により、労働者は、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる4の措置に協力するように努めなければならない。

働く側は、企業が行うパワハラに関する研修やセミナーなどの対策に対して、積極的に協力するよう求められています。

【参考】知ってる?6月から施行された「パワハラ防止法」の基礎知識

※データは2023年8月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。

文/山田ナナ

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