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「パワハラ」の定義、きちんと説明できますか?

2020.06.14

パワハラの相談件数は年々増加しており、平成30年度には80,000万件を超え ている。(※1)そのような流れを受け、大企業では2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から通称「パワハラ防止法」が施行される。

自分自身が被害を受けている場合はもちろん、知らないうちに加害者にならないよう、ビジネスパーソンとして、パワハラの定義をしっかりと確認しておくことが重要だ。本記事では、厚生労働省のパワハラの定義を読み解いていく。

※1:都道府県労働局等に設置した総合労働相談コーナーへの相談件数。厚生労働省「あかるい職場応援団 データで見るハラスメント」より

厚生労働省によるパワハラの定義

厚生労働省のハラスメント対策総合サイト「あかるい職場応援団」によれば、パワーハラスメントは以下のように定義されている。

職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

引用:厚生労働省 あかるい職場応援団

これだけだと具体的なイメージがややつかみにくい。それぞれの項目を細かくみていこう。

①優越的な関係を背景とした言動 部下から上司もパワハラ?

「パワーハラスメント」という以上、上司から部下の言動が対象と捉えがちだが、実はその逆、部下から上司の言動もパワハラ(通称「逆パワハラ」)にあたるケースがある。それは厚生労働省の定義「①優越的な関係を背景とした言動であって」の部分から読み取れる。必ずしもパワハラは「上司から部下」、また年齢や役職に左右されない。

例えば、専門的な業種で、経験や知識が部下の方が豊富なケース。その立場を利用して、上司に嫌がらせをする行為もパワハラとみなされることがある。同じように考えると、同僚からの嫌がらせも、場合によってはパワハラに該当することもあるだろう。

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

パワハラの定義の中で、この部分が一番難しいかもしれない。単純に「自分が失敗して上司に注意された=パワハラ」にはならないことを考えると、「業務上必要かつ相当な範囲を超えているか」が重要になりそうだ。(もちろん、注意された際の「言い方」などに問題があるケースもある)客観的に見て適正な「指導」「業務指示」と解される場合は、パワハラには該当しない。

実際には、言動の目的や経緯、継続性、状況、労働者側の問題行動の有無など、さまざまな要素を考慮して総合的に判断されるようだ。

③労働者の就業環境が害されるもの

「③労働者の就業環境が害されるもの」とは、パワハラの言動により、精神的・身体的な苦痛から職場で業務を行う上で悪影響、支障をきたすこと。

ここで鍵になるのは「平均的な労働者の感じ方」を基準にしている点。つまり、一般的な他の労働者が同じように感じる言動かどうか、がポイントだ。同じ言葉を言われても、受け止め方は人ぞれぞれである点を考えると、「一般的」がどの範囲かは難しいが、すぐにパワハラと決めつけず周囲の意見を聞いてみるのもいいかもしれない。

職場の定義

ここでいう「職場」とは、「事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所」のこと。つまり空間的・場所的な「会社」だけでなく、業務を遂行している場所での言動も対象となる。例えば、テレワーク時における自宅、出張先、営業車の中、取引先との打ち合わせ、接待なども「職場」だ。

また、勤務時間外であっても、例えば、接待や飲み会など、実質的に職務の延長と考えられるものは「職場」に該当すると定義されている。ただし、職務との関連性や参加が強制か任意かなど、さまざまな要素を考慮して個別に判断される。

労働者の定義

「労働者」の定義は、正規雇用(正社員)にとどまらない。「事業主が雇用する全ての労働者」に該当するため、パート、アルバイト勤務者などの非正規雇用労働者も対象となる。

派遣労働者の場合、雇用しているのは派遣元の企業だが、実質的に勤務している場所は派遣先となるため、同様の措置を講ずる必要があるとしている。

悩んでいる方は各種窓口に相談を

これらすべての項目に該当している場合、当該言動はパワハラと定義される。「訴えたい」「仕返ししたい」など感情的になってしまったり、精神的な病に陥る前に、まずは社内のコンプライアンス窓口に相談しよう。

社内にそのような窓口が設置されていない場合には、各都道府県の労働基準監督署、労働局内などに設置されている「総合労働相談コーナー」を活用するのも良い。総合労働相談コーナーでは、どのようなことで困っているのかを話しながら、第三者機関の介入が必要か、どのように証拠を集めるかなどについてアドバイスしてくれる。

実際には「これはパワハラ」と、単純に判断できるものではない。自分が受けている言動はパワハラなのか?その判断に迷った時にも、総合労働相談コーナーを頼ってほしい。

厚生労働省「職場のトラブルサポート

文/oki

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