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今までの感謝を込めて!東海道新幹線の車内ワゴン販売終了で惜しまれる鉄道客室乗務員たちの接客への情熱

2023.08.10

鉄道客室乗務員たちの熱い思いが支える車内販売

 取材の最後に、山﨑さんと三澤さんの2人に、思い出に残っている乗客のエピソードを聞いて見た。

東海道新幹線の“鉄道客室乗務員”に学ぶ「接客5原則」研修を終えた山﨑さんと三澤さん。

 山﨑さんは、「乗務を終えて、新大阪駅で降りたときのことです。ホームで別れを惜しんでいたカップルがいらっしゃったのですが、彼氏が新幹線に乗車し、去ってしまったら、彼女がホームで泣き崩れてしまったのです。

 思わず、『大丈夫ですか?』と声をかけさせていただいたのですが、すると、私にしがみつかれたのです。しばらく、そっと肩をお貸ししたら、「大丈夫です。ありがとうございました」と笑顔で去って行かれました。

 そのとき、改めて思ったのです。乗客の皆さまの1人1人に、それぞれ人生があって、頑張ってるんだと……。初心に戻りましたね。これまで以上に、乗客の皆さまに心地良い旅をしていただきたい……そう感じました」

「私は、本当にワゴン販売が楽しくて楽しくてしょうがないんですよ」というのは、三澤さん。

「ホームにいらっしゃるお客さまを確認して、『今日は男性が多いからアルコール類やおつまみを多めにしよう』とか、『休日でお子様が多いから、お菓子をできるだけワゴンに積もう』とか、考えるんです。読みが当たって売れたなら、それは私がお客様のニーズに応えられたということ。『ヤッター!』と思います」

 心底楽しそうな笑顔を浮かべる三澤さんを見て、山﨑さんは、「この仕事を楽しいと思ってもらうのは、うれしい限りです。インストラクターとして、私の分身とも成り得る鉄道客室乗務員を育てていきたいですね」

 東海道新幹線に乗車したら、改めてパーサーの立ち居振る舞いを見て欲しい。そこには、“旅の途中”の乗客に快適に過ごしてもらおうと真摯な姿勢で向き合う、ステキな笑顔があるはずだ。

取材・文/寺田剛治

※こちらの記事は2016年12月に取材したものを再編集のうえ掲載しています。データは当時のものです。

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